2013年11月18日

竹川さん
Nature #7467,7473,7474

#7467
1)βバレル膜タンパク質の輸送に重要で自身もβバレル膜タンパク質であるBamAの結晶構造を淋菌(Neisseria gonorrhoeae)と軟性下疳菌( Haemophilus ducreyi )の2種で解いて、輸送のモデルを立てた話。細胞質側の蓋やβバレルの側面が開閉して基質が膜に挿入されるようです。

2) 腸内に細菌が定着するための遺伝子群が同定された話。これらの因子は同種の後からの定着を阻害するのにも関係している(?)。

#7473
3) 磁性細菌の話。説明省略。

4) ゼルニケ位相差法を用いた低温電子トモグラフィーによって、in vivoでのファージの成熟を観察できた話。この手法は2006年に開発されているが、今回解像度がよくなった要因は説明されませんでした。

#7474
5), 6) 6_生体アミン輸送体(BAT)と阻害剤との複合体の結晶化。6では真核生物のBATは結晶解析が困難であることから、細菌ホモログのLeuTに変異を入れたものを作製し、抗うつ剤との複合体の結晶構造を決定した。一方5では、ショウジョウバエのドーパミン輸送体を用いており、困難とされている真核生物のBAT と抗うつ剤との複合体の結晶構造を決定してしまった。

本間さん
Science #6125, 6150, 6159

#6125
1) 海底地下の微生物による炭素と硫黄の代謝を証明した話。海嶺をドリルで削り、玄武岩から採取した細菌を何年もかけて培養に成功し、それらによって硫酸塩やメタンの代謝が行われている証拠を示した。

2) 植物の核にあるσ因子が葉緑体DNAの発現を制御し、概日リズムと光合成を同期させるのに働いていることを明らかにした話。

3) 生物に有害なメチル水銀を産生する細菌から産生に関与する遺伝子群を同定した話。既知のメチル水銀産生菌6種と非産生菌のゲノムを比較し、コリノイドと鉄硫黄タンパク質をコードした2つの遺伝子が保存されており、実験によってメチル水銀の産生に必要であることを示した。

#6150
4) 植物の細胞壁を補強するリグニンの新たな合成経路を同定した話。カフェオイルシキミ酸エステル分解酵素がカフェ酸エステルを触媒合成する経路を示ししている。

5) ショウジョウバエが光を感知して行動するのに前胸腺刺激ホルモンを作る4つの神経細胞が関与していることを示した話。

#6159
6) カウロバクターの環状染色体の構造を、染色体高次構造捕捉法と大規模塩基配列決定によって解析した話。真核生物に保存されている高度に自己相互作用する領域(CID)が原核生物のDNAにも存在し、複製された染色体のもつれを防いでいると考えられる。

7) 筋肉の分子スプリングとして機能するタンパク質であるタイチンの、実験的に引っ張る速度を大きくできた話。これまではシミュレーションに比べて実験では速度が数桁遅いために直接アンホールディングを比較できなかったが、高速の力光分光法を開発し、100倍速くすることができた。

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