小野くん
Nature #7464(8/29), #7469(10/3)
#7469
1)マウスのIPS細胞の形成率を100%にできた話。IPS細胞に必須な4因子に加えて、新たに、エピジェネティックな転写抑制因子の一つであるMbd3をノックアウトすることで100%の効率とした。ただし、4因子をウイルスベクターによって過剰発現していることやWntシグナルを調節するような培地を用いていることなど特殊な条件で行っている。さらに幹細胞マーカータンパク質の発現を見ているだけで、IPS細胞の正常な機能を見ていないのも気になる点である。
#7464
2)腸内微生物の種類の多様性と肥満の関係に関する話。種類が多いほどやせており、少ないほど肥満である傾向が知られていたが、ヒトの検便と血液検査の結果をもとにBMIの値との相関を示した。血液検査結果を加えているのが新しいみたいだが、母集団が心疾患のリスクを調べにきた人であり、偏りの可能性を排除していない。
3)無酸素メタン分解に関与する新たな古細菌と経路を発見した話。難培養の古細菌をメタゲノム解析により同定しており、また、新たな無酸素の経路はNH4+が必要なものであることがわかった。
郷原さん
PNAS Vol.109 No.51,52 & Vol.110 No.16,18
Vol.109 No.51
1)ビオチンラベルしたプラスミドを用いて、宿主が持つウイルスゲノムの遺伝子発現に関与する新規タンパク質を見つけた話。
Vol.109 No.52
2)短時間でできるウエスタンブロットの新しい方法の話。ゲルも小さく、スライドグラスの上でたくさんのサンプルが一度にアプライでき、メンブレンへの転写なしで二次抗体反応まで1時間ほどで終わるみたいです。
Vol.110 No.16
3)MotAのホモログであるMyxococcus xanthus滑走運動モータータンパクAglRの一分子動的解析の話。mCherryで蛍光標識したAglRは細胞膜上をらせん状に動いてトルクを発生していることがわかった。
Vol.110 No.18
4)H2Sを特異的に高感度で検出できる蛍光プローブを作製した話。これまでは特異性も感度も低かった。プローブはローダミンをもとに化学合成した物質みたいです。
5)ジャイアントベシクルを使うことで界面活性剤の存在下のタンパク質をベシクルに再構成できた話。タンパク質にはバクテリオロドプシンやABCトランスポーターなどいくつかの膜タンパク質を、界面活性剤はTriton X-100, DDM, DOTMを用いて活性を見ているそうです。