2014年4月21日

西野くん Nature #7439,7494
1)スルホキノボース(SQ)はほとんどの光合成細菌の光合成を行う膜にあることが知られている。この多くのSQは細菌により分解されている解糖経路があると考えられていたが詳しいメカニズムがわかっていなかった。今回は大腸菌のK-12株が普通の解糖系と共にスルホ糖の解糖も行っており、その同定を行った。
2)インフルエンザのHA部分が変異しやすいことにより、インフルエンザは多様性を持っている。今回はそのHAが1年後どのよう遺伝子型になっているか予測する適応度モデル(fitness model)を提唱した。これにより予防ワクチンが予め作成できるのでは?
3)人間に感染するペスト菌や昆虫の病原菌では三者複合体のABC毒素の1種であるTcの構造を複合体の状態で高解像度で解析できた。この複合体は3つが正常に相互作用することによりgate部分の開閉が制御されるなど新しいことが明らかになってきた。
4)ミトコンドリア1個のフリーラジカル産生とエネルギー代謝の頻度を示すミトフラッシュを線虫で観測することにより老化に関与していることが分かった。このミトフラッシュの頻度から予測すると、個体差・環境差などに影響を受けず、産卵期の前からこの線虫の寿命が決まっているという事が示唆されていた。

朱さん Science #6177,6179
1)細胞死に関するシグナル経路には、Caspase8が関わるアポトーシスと、受容体相互作用タンパク質キナーゼ(RIPK)のRIPK1,RIPK3が関与するネクロプトーシスの2種類がある。今回はRIPK1,RIPK3がそれぞれ不活性な変異体を発現したマウスを用いて実験を行った。その結果、RIPK3はネクロプトーシスに必須であり、またRIPK3はCaspase8を活性化することによりアポトーシスを誘導することも示唆された。
2)アメーバーのGtaC転写因子が細胞質から核内へ移動することをGFPにより可視化し、その周期性はcAMPの周期と呼応していることが示唆された。
3)ゲノム解析などに用いられているFISSEQ法 (Fluorescent in situ sequence)を細胞内のRNA配列に適用した。この応用により細胞内の位置を特定してRNA配列決定が可能らしいが、詳しい方法は理解できなかった。
4)人の味覚などを司るグルタミン酸受容体はGPCRのClass Cに分類される。今回はこのtransmembrane 構造がcloseの状態ではあるがとけた。
5)SRP (signal recognition particle) はRNA-タンパク質複合体で、細胞外に分泌されるタンパク質のシグナル配列を認識する。SRPとリボソームが結合することによりSecシステムで細胞外に分泌を誘導できている。このSRPのSRP68のRNA結合ドメインの構造が明らかになった。

郷原くん PNAS #111 No.14, No.15
1)単独では変性状態であるが、ターゲット因子と結合すると構造を持つ天然変成タンパク質は、親水度・家電残基の数などの自由エネルギーの影響により構造変化をしているという事が明らかになった。
2)植物のUVR8光受容体はトリプトファンを介して二量体塩橋を破壊する事によりUVを感知している。このトリプトファン部位に変異を入れる事により、UV感知するための励起状態の違いなどを比較することによりダイマー界面の構造変化を明らかにした。
3)透過しやすいがサンプルに影響が少ない近赤外線によるイメージングプローブを作成した。数種類の人の細胞表面で感度よく認識することが可能であった。また、グラム陽性菌のペプチドグリカンにプローブを入れることにより、迅速に感知することも可能になった。
4)26Sプロテアソームのユビキチン化された基質を分解する際、中間体を含めた3状態あることがしられている。この中間体部分をATPγSを用いる事により構造が明らかになった。

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