2014年6月23日

西野さん  Science #6185, 6187
1) 深海に存在し、硫黄サイクルを担う化学合成独立栄養の細菌にショットガンゲノムシーケンスを行ったところ、ウイルス由来のDNAが発見された。深海の硫黄サイクルにウイルスが関与していることが分かった。
2) 線虫を用いた受精の話。蛍光ラベルした精子をトラッキングした実験により、受精に関わる因子プロスタグランジンは、精子を卵細胞へとガイドする役割があることが分かった。
3) Fe(III)からFe(II)を産生する細菌DMRBの話。アルカリ性では硫黄の呼吸が、中性では鉄の還元反応が起こることが示され、どちらの条件でも生存できるようになっていることが分かった。自然環境でDMRBは、硫酸塩から硫黄を産生する菌と共生し、呼吸や鉄の還元を行っているというモデルが提唱された。
4)in vitroの研究が盛んである RNA polymeraseについて、in vivoでの解析を行った話。開始メチオニンにおいて、RNA polymeraseの滞留時間が最も長くなることが分かった。開始コドンでの停止がRNAの構造を変化させリボソームの結合や翻訳の進行に影響するモデルが提唱されていた。

北山さん PNAS #111 No.20, 21
1) 細胞周期チェックポイント機構の話。DNAダメージ応答後、G1期からS期へと復帰する際に関わる因子が発見された。各ステージ特異的なタンパク質に蛍光色素をつけ、細胞周期のステージを色の移行で観察する実験が印象的だった。
2) 温帯の樹木は、冬期気温上昇により春の芽生えだけでなく、その年の落葉や翌年の芽生えも早くなるという話。芽が低温にさらされた期間や木の中の蓄積量の影響でリズムがシフトするそうだ。蓄積を感知するメカニズムがどうなっているのか興味がわいた。
3) 植物のジベレリン応答経路の話。この経路における主な転写調節因子DELLAはDNAと結合できないため、DNA結合因子を介して転写を抑制・促進する。今回発見された転写促進に関わる因子はDELLAの標的遺伝子のタンパク質と競合して活性調節していることが示された。
4) 歯周病病原細菌と口内細菌の共生の話。口内細菌の産生するH2O2に応答してDspBが発現すると歯周病菌は口内細菌との距離をあける。運動能のない歯周病菌がどのように分布を変えているのかが気になった。

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