2014年9月9日

北山先生
Nature No.7510

1)がん化はMycと呼ばれるがん遺伝子産物による転写がおかしくなることにより起こると考えられている。Mycはタンパク合成や細胞の成長、RNA代謝など多くの事に関わっている。今回の実験により、Mycにより転写が促進されるRNAをChip-seqにより同定した。その結果、Mycは細胞を大きくしてRNAを増やしているのではなく、細胞の大きさに関わらず特定のRNAを増やしてがん化を起こしていることが分かった。

Nature No.7511
2)二酸化炭素が増えると光合成が増加、バイオマスが増加して植物の生産性があがる。植物の生産性が最適になるのはどのような条件が良いかを二酸化炭素量と降水量を比較して明らかにした。その結果、一年の総合降水量ではなく季節ごとの降水量によってバイオマスの量に変化があった(春/秋の降水量が増えればバイオマスは減り、夏の降水量が増えればバイオマスは増える)。また季節ごとの降水量により窒素固定に用いる窒素源の量にも変化が生じるため、バイオマスの増減に影響があることがわかった。

3)マラリア原虫は蚊を媒介にして人体に感染し、赤血球内で分裂増殖して破壊する。この赤血球内の環境を自分の都合の良い条件に変えるためのエフェクターなどを出す構造体があると考えられている。その構成必須タンパク質の一種であるHSP101をノックダウンすると構造体ができないだけでなく、生育にも影響があった。これは、HSP101がなくなる事により、赤血球に作用できないため生育が悪くなるため、この構造体がある可能性が大きくなった。

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