2015年1月26日

山口さん(Nature Vol.516 #7529, 7531)
Kernbauer et al.

 ウイルスの腸内共生の話。通常、哺乳類の腸内共生と言えばバクテリアばかり考えられてきたが、ウイルスも宿主に有益に作用(共生)しており、論文ではマウスの腸において弱毒性のノロウイルスが、免疫系に関わる因子の発現や柔毛の形態、ひいてはマウスの生存に重要であることを示していた。宿主に有害となるウイルス量と有益になるウイルス量の境界はどの程度なのだろうか?

Lee et al.
 オートファジーの話。空腹時に働きオートファジーを促進する転写因子PPARaと、満腹時に働きオートファジーを抑制する転写因子FXRの、それぞれの欠損変異体に対するそれぞれのアゴニストのオートファジーへの影響を調べたり、結合する認識配列を調べたりしていた。

Khmelinskii et al.
 核膜におけるユビキチンプロテアソームによるタンパク質品質管理の話。既知の核に局在するE2(Ubc6)に結合するE3としてAsi1やAsi3を同定し、そのAsiに結合する基質を同定していた。スクリーニング方法は蛍光タンパク質を使ったものの様だったが、後者の基質のスクリーニング方法の方は原理がよく分かりませんでした。

本間さん(PNAS Vol.111 no.52; Vol.112 no.1, no.2)
Smirnova et al.

 LacYの構造変化をnanobodyと呼ばれるラクダやラマからとってきた抗体を使用して検出したという話。比較的新しい手法を使い割と進んでいる研究対象を調べたといういかにもPNASっぽい話だと思った。LacYの活性をむしろ促進する抗体が見つかったのはおもしろかったが、それに関してはあまり触れられませんでした。

Tolia et al.
 血液の凝固に関与するADAMTS13というタンパク質の話。このタンパク質の活性を上昇させる抗体の存在から、ADAMTS13の構造変化と機能の関係性はすでに示唆されていたが、今回は全長とフラグメントの機能を比較したり、SAXSで構造を見たりしていた。

Dorr et al.
 Styrene-Maleic Acidというものをdetergentの代わりに使うことで、膜タンパク質をnanodiscという形で単離精製できるというのを示していた。使っていたのはKチャネル。

Mukherjee et al.
 Bacillusのhyperflagellationの制御において、LonA(AAA protease)がSmiA(運動阻害に関わる因子)に補助されてSwrA(べん毛形成のmaster regulator)を分解するというのを示していたらしい。

Nan et al.
 Beiyan Nanの仕事でgliding motilityの話。RasホモログのMglAの細胞内のgradientが、AglA(MotAホモログ)の方向転換を決めているらしい。あと、MglAとAglAの直接的な相互作用も2hybridで見ているらしいので、いかにもそれらしい話だと思った。

BACK