2015年4月27日

平子さん Science #6216(2014),#6217(2015)
1442-1451: 2014年のBreakthroughと題して、昨年度のサイエンス界を振り返っていた。Winnerが宇宙科学(人工衛星ロゼッタによる彗星の調査)で、次点に恐竜の話(取りに分化しなかった羽を持つ恐竜)、インドネシアの4万年前の洞穴壁画、レーザーで記憶を操作する利根川研の研究、そして細菌に6 nucleotide型のDNAを導入した話、などなど、実は私も知らなかったことが多かった。記憶操作は倫理面での問題が気になるところだ。

1520: 2年前にシンポジウムで名古屋に来てくださったLupasさんがperspectiveで紹介している論文。亜鉛のトランスポーターを実際に設計した話。H+駆動ではZnの輸送ができないのが不思議だが、蛋白質設計という新しい分野がこれからは盛り上がりそうだ。

63: コレラ菌のnatural competencyには、Type VI分泌系が関与することを証明した論文。モデルの図が分かりやすかった。海洋性ビブリオ菌でのDNA導入を苦労している身としては、もう少しこの辺を考えても良いのかもしれない。

75: リボソームで異常な蛋白質合成された時の処置について、関与する因子が見つかり、その新生鎖のC末にはAla, Thrが、mRNAとは関係なく付加されるという話。Ala, Thr付加後の動態を知りたくなった。

竹川くん PNAS vol. 112, #8, 9
全部で7報の紹介。その中で気になったのは2報:
2455: 3年前にシンポジウムで招聘したBrian Craneさんのところの論文。2011年のBLASTで、確か学生さんがこのテーマでトークしていた。Firstの方は、2011の時とは違う学生さんで、この間のBLASTでこの内容で発表していた。陽気なインド系の学生さんで仲良くなった。ESRで走化性受容体の細胞内領域の構造変化をプローブしている。誘引物質と忌避物質の添加により、この領域の安定度が変化するようだ。下流のキナーゼ活性の上昇のためには、構造がタイトになる方が良いというのは、予想外な気がした。

2487: コレステロール値を下げるために用いるPravastatinという薬剤を1ステップで作成するカビを作成し、大量合成に成功したという話。光学異性体であるCompactinを合成するカビの酵素を改変して、工業化できそうなくらいの純度と生成効率を達成したとのこと。視点と戦略がストレートですっきりした話でした。

BACK