2015年5月11日

本間さん(Nature 7546 7548)
Ran et al.
 CRISPR-Casの話。現在よく使われているCas9(Streptococcus由来)がサイズが大きすぎて使い勝手が悪いから、もっと小さいものを探すため8種類の菌由来のものを精査して、Staphylococcus由来のCas9が一番使いやすそうだということが分かった。データ量は多いらしいが内容はシンプルだった。
Paulsen et al.
 TRPチャネルの話。TRPA1の構造を電顕での単粒子解析で解いた。10種類の様々な生物由来のものに着目し、結構前から流行っているGFP-FSECを使って、単分散性が高いサンプルをスクリーニングして、さらにMaltose Binding Proteinを融合したりして、構造決定。既知のTRPVチャネルと何か構造が違うということでしたが、それの説明は省略されました。

西野さん(Science 6230 6233)
6230 p41,p128
 miRNAはmRNAの3'UTRに結合して発現量を抑制する働きを担っているらしいが、個々の細胞ごとの発現量のばらつき(noise)を抑える働きも担っているというのが今回の話。単一のプロモーターで2種類の蛍光タンパク質を発現させ、片方に3'UTRを付けておくことでmiRNAの影響の有無を比較するという実験手法でした。使っているのはES細胞(たぶんヒト由来)。
6230 p132
 ヒストン3のメチル化の話。出芽酵母において、ヒストン3がメチル化されるためには、TetR-Clr4*が4xtetOに結合する事によってade6が発現誘導されることが重要らしいが、TetR-Clr4*を欠損した株としていない株を掛け合わせたF1世代,F2世代もメチル化が行われることを示していた。結局、結論はよく分かりませんでした。コロニーの色でヒストン3のメチル化を区別しているようでしたがその原理もよく分かりませんでした。

北山さん(PNAS vol.112 no.10 15)
2990
 バクテリアはmicrocompartment organelleという、代謝中の毒性中間体を閉じ込めるためのオルガネラを持っていて、これは一種類のタンパク質6量体を1ユニットとして多数重合したシート状構造からなる。そのタンパク質の1つであるPduAについて『基質(1,2-PD)は通して、毒性中間体(Plopionaldehyde)は通さない』というメカニズムを明らかにするために、6量体の中心に位置する穴に変異を導入し、その結晶構造と、基質や中間体の透過性を検出していた。単純に穴の大きさだけじゃなく、穴のchargeなども選択性に重要とのことらしい。結局メカニズムは明確には分からないようだが、データは分かりやすかった。
2948
 Hisタグタンパク質の細胞内局在をラベルするプローブのお話。小さくて、膜を透過して、Hisに結合するような新規プローブをデザインして、バクテリア、真核培養細胞、植物など、実際の使用例を示していた。大きすぎて局在を邪魔するRFPを融合したタンパク質の代わりに局在を検出できるようになったというのは特に印象的だった。

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