2015年6月15日

Kumarさん Nature #7547, #7554
Kumarさんは今日が最後の速報担当でした。本人もそれを意識して準備を頑張っていました。4報の報告がありました。そのうち私が興味を持ったのは、adiponectin receptorの結晶構造の論文(#7547, article)です。理研の横山先生の研究室がメインに行ったようですが、著者がすごい数で、またたくさんの研究室が関わっていたようです。Adiponectin受容体はGPCRとは膜貫通部位のトポロジーが逆転しており、GPCRと良く似ているけれどまだ構造の報告はなかったそうです。本研究で、AdipoR1とAdipoR2という非常に良く似ているが出力先のシグナル経路が異なる受容体の結晶構造を解き明かしていました。どうやら亜鉛イオンの結合部位が水分子の配位があるかないかによりごくわずかに異なるようです。それがシグナル使い分けの要因なのかは今回の構造ではまだ分からないようです。
 また、mRNAの制御に関わると考えられているeIF3aの機能解析(#7554, letter)も興味深いです。お決まりのUV架橋後に免疫沈降してeIF3aが結合するRNAを単離同定することがメインのようですが、RNAの2次構造まで解析してあったこと、それから細胞の分化に関係するc-JUNのRNAが釣れてきたことなど、eIF3aによるRNAの成熟がどうやら細胞分化に影響しているらしいというストーリーに持って行っていました。

西野くん PNAS Vol. 112 #21, 22
西野くんは3報の紹介でした。そのうちの一つがVibrio Ex25株の全ゲノムシークエンシングについての話です(#21, page E2813)。竹川くんが指摘していましたが、Ex25株の全ゲノムシークエンスは2009年に発表されています。ただ、論文にはなっていませんでした。詳細は分かりませんが、すでに報告されているものとはどうやら別個にシークエンスしているようです。2009年の報告はLos Alamosの研究所(私の友人も勤めています)からでしたが、今回はBerkeleyにあるJoint Genome Instituteで行ったとされていました。”Contributed by Rita Colwell”です。この論文から、Ex25株は名前が付いて、Vibrio antiquariusになりました。V. alginolyticusとは非常に良く似ていて、91% identicalだったそうです。
 後の2つのうち、ひとつは非天然アミノ酸を用いて蛋白質の機能改変を行う話でした。最近はやっている、光架橋で有名なPeter Schultzさんのラボのお仕事です。奇麗な結果で、AcrFと名付けた非天然アミノ酸をbetaラクタマーゼのV216と置換するとbetaラクタム系の抗生物質に耐性になることが示されていました。ただ、様々な非天然アミノ酸を用いて抗生物質耐性を引き出す蛋白質を創成するのはすばらしいのですが、効率や有用性などについてのイメージが私にははっきりしない印象を受けました。

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