北山先生 Nature Vol.531 #7592, Vol.532 #7598
1)高脂肪の食事が大腸がんを引き起こす仕組みについての話。脂肪酸がWntシグナルを活性化し、腸管幹細胞を増加させ、腫瘍形成につながるというもの。高脂肪の食事が肥満や心臓病だけでなくがんにもつながると知り、恐ろしいと感じました。

2)真核生物の翻訳開始因子eIF2Bの結晶構造の話。eIF2Bは、α, β, γ サブユニットからなる三量体Gタンパク質eIF2のグアニンヌクレオチド交換因子である。eIF2Bの働きは、リン酸化したeIF2 αサブユニットによって抑制されるが、結晶構造をもとに、そのeIF2BとeIF2 αサブユニットの作用部位を同定した。

3)メラノーマにおいて、変異はプロモーター領域に多く生じており、転写因子が強く結合することでヌクレオチド除去修復タンパク質がアクセスできなくなっているという話。すべてのがんがこのパターンではないようですが、すこしでもがん治療が進歩すればと思います。

本間先生 PNAS Vol.113 No.10, 12
1)バクテリオファージT4の結晶構造をクライオ電顕をもちいて解いた話。central hubがない状態での構造や、感染に際しての構造の変換が示されているところが重要である。

2)ヒトにおいて、行動のサイクルと概日リズムのずれが高血圧を引き起こすという話。生活リズムを整えることが健康のために必要であるということを改めて感じました。

7)二量体の三量体となっている大腸菌化学受容体はCheAのP5ドメインとCheWを介して他の受容体と結合することで、六角形に配置され、連なっていくことでクラスターを形成するが、これらが本当に正しいのかを調べた話。化学受容体はクラスターを形成することで細胞の極に局在できるようになるようなので、タンパク質の極局在を考えるうえでも非常に興味深い話でした。

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