#7595_page 500; ヒトの進化において、石器時代に出現したホモ・エレクトスまでは脳と体が共に大きくなるよう進化してきたらしい。ところがホモ・エレクトスは歯が小さかったり噛み砕く為に必要な筋肉が少なく、これまでとは様子が違う。それは石器時代以降、食事の際には石器などで加工したり火で加熱した食材を食べるようになったからではないか?ということで、噛み砕く力と回数について調べていた。その結果は上記の仮説を支持していた。食品栄養学の話としてもなかなか興味深かったです。
#7601_page 120; レジオネラのエフェクターは、宿主の細胞のなかで自身を含む小胞を形成して生き延びる。その時、宿主タンパク質をユビキチン化してシグナル伝達系を乗っ取り、自身に有利になるようにしているらしい。今回、SidEというエフェクターの仲間が、宿主のRab33タンパク質を、E1, E2酵素非依存的にユビキチン化することがわかった。直接SidEがRab33をユビキチン化するのはかなり驚きで、宿主側としては困った出来事だろうと思った。
錦野くん PNAS vol.113, #14, 21
4報の発表はなかなか面白い内容のものが選ばれていて、聞いていて楽しかったです。須河さんの力作の仕事もすごかったですが、Basslerさんのところのバイオフィルムの詳細な観察の報告は、「見るだけ」とはいえ見応えがあり、昨日風呂場を一生懸命掃除してバイオフィルムみたいな汚れを取り除いた自分には興味深かったです。Mycobacteriumのプロテアソームの構造も、数年前に細菌学会で話を聞いて、そのあとコロキウムでも発表があり、また私がUtahに留学していた時は共同研究先のラボがプロテアソームの構造解析をやっていたので、その進展は興味深いものがありました。もう1報は、我々の分野で有名なカナダのBurrowsさんのグループの仕事でした。
Vol. 113(21)_page 6017; 緑膿菌のType IV線毛の構成タンパク質PilAは内膜に埋まっており、その発現量はPilAと膜タンパク質でtwo-component sensor kinaseであるPilSとの相互作用で決まる、という話です。PilAの量に依存し、PilS-PilAの相互作用が高まると、PilS-PilR two-component signal transductinにおいてPilSの脱リン酸化が起こりpilA遺伝子の発現を抑えるが、PilA-PilS相互作用が下がると、今度は逆にPilRのリン酸化が進んでpilA遺伝子の発現を活性化することが示されていた。次の仕事はどのような相互作用がリン酸化を制御しているのかを明らかにすることになるだろう。