尾上先生 Nature Vol.534 #7605, 7606, 7607, 7608, 7609
(2) Richardson et al.
 DnaAが一本鎖DNAに結合する際に、一本鎖DNAの3塩基ずつを認識していることを示した話。oriC変異体を解析するのに用いたコンストラクトの仕組みは、今後自分でも応用することができるのではないかと思いました。

(4) Zhao et al.
 膜融合に際して、脂質二重膜のうち外側の膜のみが融合しているヘミフュージョンをlive imagingで観察した話。膜融合する際のヘミフュージョン状態を維持している時間にもばらつきがあるようなので、小嶋先生の質問にもあった通り、ヘミフュージョンの生理的意味が気になるところです。

(5)Faber et al.
 宿主にストレプトマイシンを投与しても体内のサルモネラが増えるメカニズムを明らかにしたもの。ストレプトマイシンを摂取すると宿主の誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)の発現が上昇し、グルコースやガラクトースが酸化され、サルモネラはその糖酸化物を用いて生育するそうです。抗生物質は菌を死滅させるものだと思っていたので、抗生物質によって菌が増えてしまうことがあると知って驚きです。

錦野さん Science Vol.351 #6280, Vol.352 #6287, Vol.353 #6298, 6304
(6287) Garcez et al.
ジカウイルスが脳や神経の発生に影響を与えることを、ヒトのiPS細胞を用いて示した話。近年ブラジルをはじめとする中南米では小頭症の子供が多く生まれ、妊娠中の女性のジカウイルス感染と胎児の小頭症との関係性が注目されているようですが、この研究がさらに進んで新薬の開発につながればよいと思います。

(6298) Wang et al.
エルシニアのT3SSによる感染は感染性プラスミドのコピー数によって制御されていることを示したもの。遺伝子をコードするプラスミドのコピー数を増やすことで実質的な発現量を増やすというものをみたことがなかったので面白いと感じました。

(6304) Baym et al.
新しいデバイス(160×60 cmプレート)を用いて、より自然に近い環境での菌の抗生物質耐性の獲得の様子を検証した話。薬剤耐性は薬学において大きな問題であると思うので、この研究から薬剤耐性獲得をしづらい抗生剤の開発につながればよいと思います。

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