(2) Steven E. Mansoor et al.
ATPによって活性化される非選択的陽イオンチャネルP2X3受容体について、小孔が閉じた状態、開いた状態、アポタンパク質の静止状態の構造を解いたという話。P2X3は免疫系、神経系に関与し、ヒトの生理に重要な役割を果たしているため、この結晶構造の解明は、生理機能の病気に対する新薬開発につながるかもしれない。
(4) Alexander J. Meeske et al.
細菌のペプチドグリカンはPBPによって合成されることが知られているが、枯草菌では4つのPBPを欠損させてもペプチドグリカンは合成される。この研究で、SEDSタンパク質のRodAがペプチドグリカン合成酵素の1つであることが明らかになった。今後、抗生物質開発の標的として、SEDSタンパク質が候補となるかもしれない。
近藤さん PNAS Vol.113(35, 36)
(1) Jiajun Zhu et al.
アポトーシス誘導関連因子のp53が、自身のリシン(K370、K382)のメチル化によって働きが抑制されてしまうという話。ヒトの精巣のがん細部でp53がメチル化されると、下流のp21やPUMAの発現が著しく減少していた。p53のメチル化を標的とする新たな抗がん剤開発につながると期待したい。
(2) Rachel S. Edgar et al.
ウイルスの感染と、ホストの持つ概日時計の関連についての話。夜行性であるマウスは、活動時間帯直前よりも朝方のほうが何倍もウイルスに感染しやすかった。ヒトである我々も健康のために規則正しい生活を意識した方がいいかもしれません。
(3) Jing Yan et al.
コレラ菌のバイオフィルム形成を、1つの細胞に注目して観察した話。バイオフィルムは、初めは平面状に広がり、徐々に3次元的に広がって形成されていくことがわかった。細胞間接着に関与するRbmAを欠損させた菌や、細胞の表面接着に関与するRbmCとBap1を欠損させた菌でも同様に平面→三次元と広がったが、最終的に前者はもろいバイオフィルム、後者は球状のバイオフィルムになった。