西野くん Nature #7624, 7626, 7629
講義のため遅れて出席のため、後半2題の発表を聞くことができました。
#7629_Mashaghi et al.,
Hsp70はこれまでほとんどunfoldしたタンパクに作用すると考えられていたのが、実はかなりfoldしたタンパクに作用しているらしいということを、光ピンセットで引っ張ってどのくらいタンパク質が解けるのかを見ることで見出したようです。
#7629_Engreitz et al.,
Long noncoding RNAはどうやら隣接した遺伝子の発現を制御しているらしい、ということを近傍の遺伝子の発現を調べることで提案しています。実際のメカニズムまではまだ不明ですが、機能があることがわかったのが大きな発見でしょう。

尾上さん Science #6281, 6282, 6283, 6284, 6285
たくさんの号に目を通してくださいました。その中で3つの話が興味深かったです。
#6283_Denais et al., _Raab et al.,
マイクロ流路内に作られた非常に狭い間隙に細胞を無理やり通すと、核膜がこわれてしまうが、それをESCRT IIIシステムが修復する、という話。やぶれた袋を修復するのは細胞膜を制御する因子が主に担うのだろうと思いましたが、その中でもESCRTシステムが選ばれて担当するのは面白いと思いました。Utahにいたとき、Blair labのあるLife Science Buildingの3階にはESCRTを研究しているラボがありました。
#6285_Ding et al.,
眠りから覚めると、脳の細胞のカリウム濃度が数mM程度上昇し、逆に眠るとカリウム濃度が数mM低下するという話。マウスの頭を開いて、そこに電極を刺し、カリウムの濃度を測っていました。すごく綺麗に差が出ていました。眠りが浅くてしんどい思いをよくするので、眠りの深さとカリウム濃度の関係が気になるところです。
#6281_Su et al.,
UCSFのVale labの研究で、T cellのシグナル伝達に関係する因子を生成し、再構成したという話です。LATという膜上でプラットフォームの役割をする因子がGrb2などを結合して、最終的にはactin filamentを重合させるところまでできていました。すごく大変な実験で、人工細胞を作成するにおいてこの成果は大きいのかなと思いました。

錦野くん PNAS vol. 113, #34, 44
4つの論文を紹介しました。
#44_page 12490, Holmes et al.,
私もダウンロードして読もうと思っていた論文です。Caulobacterの極に局在するタンパク質PopZがintrinsically disordered hubを極に形成するという話です。PopZのC末端は足場として働きますが、N末端と中央部分はどうやら形をもたないintrinsically disordered領域のようで、結合タンパク質と作用すると構造を作り出すようです。Disorderしている領域を持つタンパク質がどうやって極に溜まるのか、次はそこを知りたいですね。
#44_E6849_Schrader et al.,
再びCaulobacterですが、cell cycleにおいてどの遺伝子がどのくらい発現するのかを網羅的に調べています。結果は大体予想されたものと一致していました。RNAseqなどの最新の技術を用いた解析を行っていて、私自身もこれらの解析手法をもっと理解したいと思っています。

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