水野君 Science Vol.356 #6343, 6344
(1)Luginbuehi et al.
植物と共生する菌の脂肪酸が、宿主の植物によって合成されるという話。植物の持つ、共生に重要なタンパク質の詳しい働きを明らかにした。自然界の生物が共生して互いに利益が得られるように、その制御機構はしっかりしているのだなと感じた。
(2)Malta et al.
栄養状態の移行の間に必要な代謝変化を調節する機構を明らかにした話。飢餓のときに活性化するGTPase RagDの転写活性が、mTORC1(細胞代謝や栄養感知、オートファジーなどの細胞内シグナル伝達に関与する)の制御に重要である。この機構はがん細胞で特に重要であるらしいので、がん治療薬への応用を期待する。
(3)Shintomi et al.
 染色体をつくるのにヌクレオソームは必要なのかという論文。マウスの精子核とアフリカツメガエルの卵抽出液を組み合わせて、in vitroで染色体を構築する新しい実験系を確立し実験を行った。異なる生物の精子と卵を用いて実験を行っているところがとても面白いと思った。

岩月君 PNAS Vol.114 No.26, 27
(1)Djoko et al.
 バクテリアはグルタミンを、酸化ストレスや銅の毒性を抑制するために利用できるという話。この機構を標的として病原性バクテリアを死滅させることができる薬剤を開発することができるかもしれない。
(2)Suomivuori et al.
 光駆動ナトリウムポンプであるロドプシンの一過性の光サイクル状態をシュミレーションした話。べん毛のポンプでも同様のことができるかもしれない。
(3)Snarr et al.
緑膿菌由来のグリコシド加水分解酵素が、アスペルギルスのバイオフィルムを破壊できることを示した論文。真菌のバイオフィルムに対する新たな薬剤の開発につながるかもしれないと思った。

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