平野くん Nature #7711, 7712, 7715
3冊から3報の紹介。
Alina Pushkarev et al.
以前のセミナーでも話題に上がっていた、イスラエルのグループと神取先生のグループが出した論文。微生物から新しいロドプシンを発見したという話。外側がC末になっていたり、H+を放出せず自身でキャッチしたりと、既知のロドプシンとは異なる特徴を持つことが明らかに。どのようにシグナルが送られるのか、気になるところである。
Shaotong Zhu et al.
GABAのA受容体の構造を初めて解いたという話。GABAとの結合だけでなく、ドラッグの効果を阻害する薬Flumazenilとの結合も見ている。Flumazenilが結合できる条件が新たに明らかになったことは、薬物依存の治療においても大きな進歩になるだろう。
岩月くん Science #6400, 6407, 6410
3冊から4報の紹介。
Vikram Chandra et al.
アリの真社会性(女王アリと働きアリなどの分業)の分子メカニズムを解明しようとした話。幼虫が近くにいるとインスリン様ペプチドilp2の発現が抑えられ、生殖が阻害されることを示した。個人的には、アリのオスは生殖後死に、巣の中のほとんどがメスだけという事実に驚きが隠せない。
Masatsugu Toyota et al.
植物が傷つけられた時、その情報を全身に伝えるシグナルについての話。Ca2+シグナルの可視化に成功し、このシグナルの発生にグルタミン酸の流出によるグルタミン酸受容体の活性化が必要であることを明らかにした。「うま味が痛みを伝えている!?」のネーミングセンスに脱帽。
Leonela Amoasii et al.
CRISPR/Casの技術を使い、筋ジストロフィーの症状の回復に成功したという話。実験系としては少し怖い様な気がしたが、今後の筋ジストロフィーの治療が大きく進むことに期待する。
錦野さん PNAS vol. 115 #10
1冊から5報の紹介。
Jingjing Duan et al.
心臓のNa+排出チャネルであるTRPM4の構造を解いた話。心筋の収縮などに関わるチャネルであるため、医療的な意義が大きいようである。同じ内容で先にNatureに2つの論文が出てしまったためPNASにのったという、世の中の厳しさを感じる記事であった。