Malay et al.,
TRAPという11量体でリングを形成するタンパク質を用いて、非常に安定したタンパク質ケージを形成したというお話でした。このケージは熱変性や尿素変性に強い反面、還元剤を加えると開くことができるという特徴をもっており、意図的に開くことができるのであれば部位特異的に機能させたい薬剤の輸送などに応用できそうだと思いました。
Fredens et al.,
大腸菌のゲノムデザインのお話で、同義コドンを置き換えたり、オーバーラッピングしているORFを圧縮したりとゲノムを改変しても、大腸菌は天然アミノ酸を産生することが可能であるという事が分かりました。本間先生はまぁ出来るだろうと仰っていましたが、個人的にはこんなことが出来るなら人工細菌が設計される未来もそう遠くないのか?と驚きました。
Lloyd-Price et al., Zhou et al.,
どちらも長期的かつ大規模な統合ヒトマイクロバイオームプロジェクトの結果としての論文で、それぞれ炎症性腸疾患と2型糖尿病における腸内細菌の動的変化をプロファイリングしています。Perspectiveで挙げられていた早期出産や、以前私がコロキウムで紹介した自閉症など、他にも多くの疾患と腸内細菌との関係は示唆されており、今後どのような研究や治療に繋がっていくのかが興味深いです。
PNAS 相良くん Vol. 116; No.22, 23
二冊から三報の紹介でした。
Ashraf et al.,
インフルエンザウイルスに対する新規薬剤候補として、宿主側の細胞のRED-SMU1複合体の結合を阻害する化合物が見つかったというお話でした。期待の新薬であったゾフルーザに早くも耐性株が多く出てしまったという事実からも、耐性獲得されにくい新薬としてウイルス自体ではなく感染細胞をターゲットとするのは非常に賢明だと感じました。今後さっそく、投与可能な新薬となることを期待します。
Johnston et al.,
細菌の形質転換において障壁とされる外的DNAへの防御メカニズムをサイレンシングすることで形質転換効率が上がったというお話でした。標的モチーフを決定しそれを排除することで外的因子として認識されなくなるというもので、一昨年ごろに異種間のプラスミド形質転換で非常に苦労した自分にはとても興味深い話だと思いました。