Serban et al.
dsRNAウイルスのカプシドを3.5Åで構造を解き、内部構造をディープラーニング等で分析したという話。その結果、dsRNA が複数の層構造をとっており、宿主内での逆転写を非常に効率よく行えるようになっていることが分かった。合理的な構造を取っている点が非常に興味深く、この特殊なdsRNAの構造がどのように形成されているのかについても気になった。
Rocio et al. (本文はNature biotechnologyより)
抗生物質耐性を持つ細菌のみを選択的に殺す系を作成したという話。(1)毒素を感知して発現がかかる、(2)抗生物質耐性によって作られるシグナル分子を感知して発現がかかる、の2つの特性を持つプラスミドを大腸菌に持たせ、コンジュゲーションでコレラ菌に移すことで、病原性を持ち、かつ抗生物質耐性を持つコレラ菌のみを殺すことができた。汎用性も高いとのことで、今後の抗生物質耐性菌へと対抗手段として期待される。
堀君 PNAS vol.116 No.8, 10, 26
3冊から3報の紹介でした。
Benjamin et al.
昆虫のPolyneoptera(多新翅上目)の翅の起源を調べるために、昆虫の部位や生活環境ごとに分類分けをし直したという話。その結果、Polyneopteraの翅は側背板由来であることが推測された。ただし側背板には筋肉が無く、初期の翅は滑空用として使われたのではないかとのことだった。あまりなじみの無い進化の話であったが、単一の祖先からどのように分化していったか等、非常に興味深いと感じた。
Albert et al.
10 part bindingという新しい方法を用いて2つのタンパク質間の相互作用をシュミレーションしたという話。新しい方法によって、タイムスケールの拡大や生体内でのシュミレーションができるようになったが、水分子の影響が非常に大きいとのことだった。非常に小さい水分子によって多大な影響が出るのは意外であった。