相良さん発表
Natureから4報の紹介論文でした。帝王切開における日和見感染菌の子供への伝搬を調べたものだ。メタゲノム解析によって正確に解析されたものである。濡木研と神取研との共同研究で、既存のロドプシンとはアミノ酸配列が大きく異なり、膜内での配向が逆転しており、光情報伝達を担っていると推測されている2018年に発見されたヘリオロドプシンの結晶構造を決めた報告である。ロドプシンが色々な所で応用されていることから、ネーチャーに掲載できたのだと思う。

錦野さん発表
Scienceから6報の論文を取り上げました。1報は環境医学研究所の山中先生のところの論文で錦野さんの同級生が著者に入っているのですが、睡眠の話で内容が理解できなということで紹介しませんでした。核磁気共鳴分光法(NMR)を使用して、シャペロンHsp70とHsp40がクライアントタンパク質の結合と放出(キャッチ・アンド・リリース;Catch and release)のサイクルにおいてどのように連携しているかを調べた論文を紹介した。動的な構造解析には、NMRを用いた解析が有効なのが分かる。細胞の生存には、環境の変化に適応するに十分な可動性と必要な期間安定な切り替え機構を必要とすることもある。細菌中に二つのタンパク質間の統計的競合に基づく切り替えシステムによって細胞運命を決めることを示した論文が紹介された。なんで、これがScienceと思ったが、枯草菌研究の大御所のRichard Losickの名前が入っているからかと思いました。社会性細菌、Myxococcus xanthus中に酵素 CarFを見い出したという論文が紹介された。ビニルエーテル結合を含むプラスマローゲン(plasmalogen)は、動物における豊富な脂質グループであるが、これらの脂質がアルキル・エーテル結合を持つ前駆体からどのように合成されるかは分かっていない。これに関与する酵素として、CarFが発見され、動物の相同タンパク質が細菌およびヒト細胞においてプラズマローゲン合成を触媒することを示し、合成経路を明らかにしたことで、細菌のタンパク質の研究からScienceに掲載される論文になったと思う。

平野さん発表
PNASから4報の論文を取り上げました。ゼブラフィッシュを使って、抗生物質が腸内細菌(Vibrio と Enterobacter)の定着を調べた論文が紹介された。低濃度の抗生物質が腸内細菌叢に大きな影響をあたえるということが示された。メルクの研究所で過去に見つけられた新しい抗生物質MRL-494についての論文が紹介された。プリンストン大学のThomas Silhavyが協力して、その抗生物質のターゲットが外膜タンパク質の形成に関与するBamAタンパク質であることを明らかにしたことでPNASに掲載されたと思う。

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