寒くなってきて手足が冷え始めた。そんなところで年を感じ始めてしまう。アラフォーになり老化を意識してしまうことが悲しい。井上さんによると、そんな話がPNAS(Santra et al)に出ていたようだ。数理解析を用いた解析から、老化の一因に酸化刺激によるミスフォールディングタンパク質と凝集があり、時間経過に伴いそれらが増えすぎ、それを分子シャペロンが巻戻せなくなることが老化を引き起こすそうだ。抗酸化物質で老化防止を謳うのもわかる話かもしれない。そういう意味では、腸内細菌叢をコントロールすることも老化防止には重要かもしれない。本間さんによると、恐怖学習と腸内細菌叢には関連があるらしい(Chu et al)。腸内細菌叢を排除したマウスでは恐怖刺激による記憶が低下し、忘れやすくなるそうだ。データが膨大なようでメタボロームまでして解析しているらしい。腸内細菌叢の効果がどれくらい直接的なのかは議論の余地があると思うが、細菌の力はすごいな。ただ細菌は共生と感染が紙一重なのが怖いところである。免疫細胞でPIEZO1が発現していることが明らかにされ、周期静水圧刺激で炎症反応が惹起されるそうだ(Nature, Solis et al)。細菌感染が炎症反応を起こすことも関連しているのだろう。他にも緑膿菌の耐性菌でリボソーム50SのuL6の4残基欠損が起きていることが明らかになった(PNAS, Halfon et al)。細菌と人間の関係は、危ういバランスの上に成り立っているのだろう。老人が敗血症で無くなるのも、バランスが崩れたことが大きいのかもしれない。やはり健康第一だな。ストレスを軽減し、ハッピーに生きたいものだ。そう言う意味で、生き物の恒常性というのは生命に必須の機能な訳だ。イオン恒常性は、自分もTMEM16を研究していたから地味に重要な要素だとわかる。KCCと言うK+Cl-共輸送体もそういった機能があり、てんかんなどにも関わるタンパク質であるようだ。KCCの構造がcryo-EMで解かれた(Science, Liu et al)が、イオン透過の一端がまたひとつ明らかにされたようだ。はて、イオン透過のモデルをを見ると、なんとなく食道をアルコールが流れる様に見えてくるのは僕だけだろうか?あぁ今日は帰ってお酒を飲むこととしよう。ストレス軽減と体を温めることとしよう。

本間先生:Nature, vol573, issue7772, vol574, issue7779, vol574, issue7780
藤原くん:Science, vol366, issue6464, vol366, issue6465
井上さん:PNAS, vol116, No42, vol116, No44より

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