Nature 三野くん #7763, 7783, 7784
三冊から三報の紹介でした。
Duan et al.,
アルコール性肝炎患者のメタゲノム解析から見つかった連鎖球菌が肝臓の細胞溶解を引き起こす作用をもつ外毒素を放出しており、その連鎖球菌をファージカクテルセラピーによって特異的に除去することが出来たというお話でした。つい先日コロキウムでファージセラピーを扱ったこともあり、治療の頻度や持続性が気になるところですがとても興味深いと思いました。

Ahmad et al.,
緑膿菌において生存競争相手への細菌間毒素として機能する六型分泌装置のエフェクターTas1のユニークなドメインの構造を解いたというお話でした。そのドメインはヌクレオチドへの結合部分を持っており、ATPから特異的にリン酸基を奪って別のATPなどに付け替えることで(p)ppAppを過剰に産生させ、ターゲットのシグナル経路を乱しているとのことでした。リン酸化という頻繁に使われるものをターゲットにしているのが生存戦略として理にかなっていると思いました。

PNAS 錦野さん Vol. 116; No.22, 34
二冊から六報の紹介でした。
Luo et al.,
向精神薬の原料となるアントラニル酸メチルという化合物を大腸菌やグルタミン酸生産菌の中で効率的に合成させるための系を作ったというお話でした。具体的にはグルコース代謝系の各ポイントに変異を入れたり、メチル化酵素を導入して発現させたりしているようで、人工細菌とまではいかないものの人為的に手を加えた細菌の話を見かけることが増えたなと感じます。

Caro et al.,
CRISPRシステムを利用してコレラ菌の必須遺伝子のサイレンシングを任意のタイミングで行うことに成功したというお話でした。Cas9のエンドヌクレアーゼ活性を失わせることでガイドRNAがターゲットDNAに結合したままになり、それが転写の障壁となることでサイレンシングが起こるため、欠失させると致命的となる必須遺伝子をノックダウンしたときの表現型が確認できるようになるというメリットがありかなり有用になると感じました。

BACK