#7831 Christian Billesbolle et al.
鉄チャネルferroportinの構造解析を行ったもので、nanodiscにうまったferroportinをクライオ電子顕微鏡で解析しました。hepcidinがferroportinに結合するとferroportinの鉄イオンの経路が塞がれます。また、これによりチャネルの内側が閉じられることでhepcidinの結合の情報が細胞内部に伝わります。
梶野さん Science #6513、6508
2冊から4報の紹介です。
#6513 Tao Xie et al.
ABIキナーゼの構造を核磁気共鳴で解いたというものです。1つの活性化状態と2つの非活性化状態の構造が明らかとなりました。非活性状態はDFGモチーフがout状態になっていますが、活性状態はそれが180°回転してDFGモチーフがin状態をとります。多くの状態での構造変化が明らかになって面白かったです。
#6508 Wei Wang et al.
硬骨魚の再生メカニズムに関与する遺伝子群を明らかにしようというもので、Chip-seqによってエンハンサー領域の探索、その後バルク、及びシングルセルのRNA-seqで遺伝子発現の差を探しました。そしてK-IENというエンハンサーを見つけました。K-IENのオルソログはヒトにもありますがヒトは硬骨魚のようには再生しないので、その差はどのように生ずるかをこれから調べることになるのかなと思いました。
小早川さん PNAS vol.117 #35、41
2冊から5報の紹介です。
#35 Mira Rosenthal et al.
あるオルガネラに運ばれるタンパク質が複数ある場合、それらのタンパク質の優先度はどのように決まるのかということを調べた論文です。酵母のペルオキシソームのPex5を介したターゲッティングを用いて、本来輸送されるタンパク質と競合するようなタンパク質を加え、優先度を調べました。シグナル配列の結合親和性が優先度にかかわっており、さらに代謝条件が変わるとその優先度が変わることが示されていました。代謝条件の変化による優先度には翻訳後修飾が関わっているのではないかという考察がなされていましたが、続報が気になりました。
#41 Felipe Martelli et al.
キイロショウジョウバエのイミダクロプリドの影響を分子、細胞レベルで調べたものになります。ミツバチ等の巣の放棄、集団の消失の原因の一つと考えられている殺虫剤の一つですが、詳しいメカニズムが分からずに殺虫剤を用いることで予期せぬ結果を生み出すことになるのでこのような研究は必要であると思いました。