Nature 寺島さん #7836, #7835
2誌から5報の紹介でした。
Allan-Hermann et al.,
喉の渇きの2つの異なるタイプに対する応答を引き起こす細胞基盤についての論文でした。水を求める渇きと水および塩を求める渇きがあり、それぞれで活性化されるニューロンを明らかにしたという内容でした。マウスに光遺伝学を用いることで2つの刺激応答が綺麗に再現されていました。

Ganesh et al.,
核内に存在するcGASがヌクレオソームにより阻害される構造的機構についての論文でした。cGASはヒストンの酸性パッチという部位と相互作用することで二量体化できず、活性化できないという内容でした。議論でも出ていましたが、自然免疫の応答に関与するcGASがなぜ核内に存在するのか不思議に思いました。

Science 相良さん #6519, #6521
2誌から5報の紹介でした。
Alexandra et al.,
ロタウイルスがADPシグナル伝達を介して細胞間カルシウム波を誘発するという論文でした。感染細胞から放出されたADPを近くの非感染細胞が受容することでカルシウムシグナルをもたらし、下痢などの症状を引き起こすという内容でした。確かにそこらじゅうにあるADPが単体でシグナル伝達をすることは考えにくく、何かもう一つ別のシグナル分子が関与しているのかもしれないと思いました。

Jing-Hua et al.,
緑色硫黄細菌が持つ光合成複合体の構造についての論文でした。他の光合成システムに比べてエネルギー伝達効率が低い理由として、FMOタンパク質と反応中心の距離が離れていることが挙げられていました。植物は緑色硫黄細菌由来の光化学系Ⅰを持つにも関わらずエネルギー効率が100%に近いのは、進化の過程でFMO-反応中心の距離が狭まったからなのかなと思いました。

PNAS 小嶋さん Vol.117 #37, #49
2誌から6報の紹介でした。
Elena et al.,
高度に赤方偏移した吸収を持つ非藻類のアニオンチャネルロドプシンについての論文でした。ラビリンチュラACRは600nm付近に最大の吸収スペクトルを持つという内容で、赤色光で活性化することにはどういった生理的意義があるのかなと思いました。

Andaleeb et al.,
ヒトの多剤輸送体P糖タンパク質による薬剤輸送方向の逆転についての論文でした。結合ポケットの14残基をアラニンに置換した変異体は細胞外に開いた構造を取るため、薬剤を逆に細胞内へ輸送するという内容でした。最近自分の論文紹介で多剤輸送体の問題について知りましたが、この発見は薬剤耐性を克服するための大きな手がかりになると感じました。

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