2012年11月26日

大羽くん Nature #7408, 7409

#7408 (p482-485)
CD4+ T細胞に潜伏している不活性のHIVは、従来の抗レトロウイルス療法では殲滅できず、根本的な治療ができない。この論文では、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤のvorinostatによってHIVが活性化したことがわかった。これによって、HIVをT細胞から追い出し、HIVを直接攻撃出来れば、HIVの根絶ができる可能性が示された。

#7408 (p496-499)
マウスの毛包の再生について、GFPを発現させた上皮幹細胞とその子孫細胞を新たに開発した生体二光子画像化法を用いてlive imagingした話。薄毛の治療に役立ててもらいたいですね。

#7409 (p111-115)
筋強直性ジストロフィーのマウスにおいて、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の投与によってターゲットとする変異した原因遺伝子のmRNAの発現レベルを低下させることに成功した話。 またASOのサイレンシングによる治療中止から効果が1年持続したらしい。

竹川さん PNAS Vol. 109 #41, #42, #47
#41 16498
核膜孔を形成する膜タンパク質Nup120は、出芽酵母と分裂酵母でそれぞれ7量体と8量体から成るという違いが見られるが、分裂酵母のNup37が関わっていることが示唆されていた。今回、分裂酵母のNup120とNup37の共結晶化によってNup120のα-helical insertがNup37と近接しており、相互作用に重要であることがわかった。

#41 16522
チューブリン様タンパク質TubZからなるセントロメア複合体TubZRCのTubRCを結晶化し、TubZの安定化に必要であることを示した話。また、アクチン様タンパク質ParMからなるセントロメア複合体ParMRCとTubZRCの構造を比較し、両者が収斂進化であることが示唆された。

#42 16894
drug/H+アンチポーターがsingle mutationによってポリアミンを取り込めるようになったという話。アイソトープラベルしたポリアミンであるプトレシンの取り込み活性を菌体とリポソームで見るぐらいで、結晶構造には触れていないらしい。これでもPNASに通るんですね・・・

#42 16900
抗生物質からリボソームを守るタンパク質(RPPs)は、リボソームに結合してリボソームに構造変化を引き起こすことで間接的に守っていると考えられていたが、今回、テトラサイクリン耐性のRPPsであるTetMと70sリボソームの共結晶が7.2Åで解かれ、TetMはテトラサイクリン結合サイトに結合して直接的に阻害していることがわかった。

#47 19256
X線とレーザーを用いてタンパク質一分子内のシス-トランスのアミノ酸の構造変化を捉えることができたという話。

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