個人的に面白かったものを抜粋しました。

本間さん Nature #7822, 7823, 7827
3誌から8報の紹介でした。
・#7822 Zheng Ruan et al. : ヒトパネキシン1(PANX1)というATPを透過させるチャネルの構造とゲート開閉機構を明らかにしたという記事でした。正常な細胞状態では、メインポアへの細胞内進入口がCTTにより塞がれておりATPは通ることができませんが、細胞内ドメインにある(横の)小さなトンネルから陰イオンを通すことができるそうです。チャネルというと一つの大きなトンネルを物質が通るというイメージだったので、横に抜け道のように小さなトンネルがあるというのが面白いなと思いました。

・#7823 Eiji Miyauchi et al. : 腸内細菌が中枢神経系の炎症を促進する仕組みを明らかにしたという、日本人の研究グループの記事でした。二つの腸内細菌の相乗効果により炎症が増悪されるという少し複雑な機構は面白いと思いましたが、私は腸内細菌が中枢神経系に悪影響を及ぼしかねないと考えるだけでなんだか恐ろしく感じました。

・#7823 Chunfu Xu et al. : 膜貫通タンパク質ポアを設計し、その機能と構造を明らかにしたという記事でした。計算機で設計したものを、発現させたりリポソームに取り込ませたりして、何を透過させるかなどの活性を調べ、構造を解いてみた、というものでしたが、まるでロボットでも組み立てているかのようなことをこういう小さいスケールでできてしまうんだなと、科学の進歩を感じました。

藤原さん Science #6511, 6512
2誌から4報の紹介でした。
・#6511 Jeremy B. Swann et al. : チョウチンアンコウは免疫機能の一部を欠失しているために、オスがメスに寄生(一体化)する時に拒絶反応が起こらない、ということを明らかにした記事でした。そもそもチョウチンアンコウのこのような生態を初めて知ったので、(視覚的に)どういう風に一体化していくんだろうというところにすごく興味が湧きました。

堀さん  PNAS vol. 117, no. 34, 39
2誌から4報の紹介でした。
・vol. 117, no. 34 Jessica A. Weber et al. : ジンベエザメのゲノムの特徴と体の大きさや寿命との関係を明らかにしたという記事でした。藤原さんの紹介したチョウチンアンコウの記事と同様にゲノム配列の分析が中心に行われていたのですが、私はこのような論文を読んだことがおそらく今までなかったので、こういった研究もあるのだなと勉強になりました。自分の研究から少し離れて、いろいろな生物の生態や進化を知ることができて面白かったです。

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