Nature 伊藤さん #7858, 7860
2誌から3報の紹介でした。
Chao Mao et al.,
過酸化脂質の蓄積による細胞死であるフェロトーシスについて、ミトコンドリア膜で働く調節因子としてODHOHが新たに明らかになり、腫瘍の抑制に使える可能性を示したという論文でした。がん治療にはまだまだ見つかっていない標的化可能な因子が存在するだろうなと思いました。

Shiyu Xia et al.,
ポア形成能を介してピロトーシスを引き起こすガスダーミンDのポア構造を解き、成熟インターロイキンの選択的な放出について電荷に基づく機構原理等が明らかになったという論文でした。直径20nmという大きさなので、穴の中央付近は特に電荷が基質選択性に寄与せずだだ漏れになりそうだと思いました。

Science 滝口さん #6535, 6537, 6543, 6544
4誌から6報の紹介でした。
Razvan Cojocaru et ai.,
自己複製を行うRNAリボザイムの設計について、クランプ型の構造にしてRNAを挟み込む等の改良により反応速度を上げたという論文でした。RNAワールド時代のレプリカーゼを再現して進化を探るとともに、それを現代の研究技術に活かすことができるのが素晴らしいなと感じました。

Mehran Ahmadlou et al.,
マウスを用いた実験で、好奇心(新規性探索行動)を司る神経細胞や神経回路を同定したという論文でした。ヒトにおいても、好奇心のままに研究を続ける学者さん方は神経回路が違ったりするのかなと思いました。

PNAS 梶野さん Vol.118 #22, 10
2誌から4報の紹介でした。
Jillian N. Whelan et al.,
通常RNase Lはウイルス感染を抑制しますが、ジカウイルスでは不活性型の RNase Lが複製工場の組み立てをサポートして感染を促進するという論文でした。同じタンパク質がウイルス感染に対して全く逆の働きをしてしまうのが面白いなと感じました。

Beatriz Bano-Otalora et al.,
昼行性の齧歯類を用いた実験で、日中の光の強度を上げると概日リズムの振幅(視床下部の自然発火率など)が増加するという論文でした。部屋の中にいるだけではなく、縁側に出て日光浴をする祖父は生活リズムが整っているのだなと思いました。

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