PNAS 成田さん Vol.110 #2, 3, 4, 5
2冊から3報の紹介でした。

Benjamin J. LaFrance et al.,
GTP結合状態の微小管の構造をクライオ電子顕微鏡で解析したという内容だった。今回解き明かされた構造では、従来解析されていたGDP状態に比べてわずかにシームが閉じていたが、変化がわずからしいので、その小さな違いが本当にGTP-Capの安定化に影響があるのか気になった。

Chantelle L. Leveille et al.,
酵母の液胞膜が単層から二層分離するための条件について調べた内容だった。なぜ繁殖期には単層だったものが、成長の定常期になると相分離が起きるのか不思議に思った。

Nature 滝口さん#7884, 7885, 7887, 7889, 7892, 7893, 7894
7冊から13報の紹介でした。

Lei Han et al.,
Yange Niu et al.,
2報とも、Nanobody(Nb)と呼ばれる標識を用いて揺らぎを抑えることでクライオ電子顕微鏡での構造解析を行ったという内容だった。この、Nanobodyと呼ばれる、抗体由来の標識は広く使われているようだった。自分の研究対象であるタンパク質複合体や、構造が不安定なタンパク質の構造解析にも利用できないか気になった。

Zongqiang Wang et al.,
抗菌毒素を出す細菌の合成反応経路や機序を調べた内容だった。この菌は、毒素耐性菌に対応するため、自身が合成する毒素を改造していく。この仕組みを解明し、一部を模倣することで、抗菌能の向上に成功したらしい。医療における問題である、細菌の多剤耐性化に対抗する解決策として期待したい。

PNAS 別所さん Vol.119 #1
1冊から3報の紹介でした。

Ben Zucker and Michael M. Kozlov,
小胞体ナノ構造形成の物理的メカニズムを、コンピュータによる計算で実証したという内容だった。物理的なシミュレーションがメインのため、内容が難解できちんと理解することはできなかったが、他分野で協力し合うことの有意性を感じた。

Helgi I. Ingolfsson et al.,
RASシグナル伝達タンパク質の膜依存のダイナミクスを調べたという内容だった。こちらも上記の論文同様にシミュレーションがメインであった。予測シミュレーション-実験的検証ループが正確な挙動の解明に有用だということだった。シミュレーションによるターゲットの絞り込み等で、検証実験が促進・効率化されるのを期待したい。

BACK