Nature 小嶋さん #7893, 7898, 7903
3冊から7報の紹介でした。

Ray Yu-Ruei Wang et al.,
Chari M.Noddings et al.,
分子シャペロンによる一連の分子機構が、クライオ電顕によって、原子レベルの分解能で初めて解明されたという内容だった。一つのタンパク質の折り畳みに、多数のタンパク質の関与しており、ステップの多さに驚いた。また、タンパク質のほんの一部の構造の変化がリガンド結合能に関与しており、非常に緻密だと感じた。

Shashank Kamdar et al.,
細菌が障害物の近くを通過するときに遊泳速度が早くなる現象を、物理的に確かめた内容だった。直感的に、何か物がある場合、速度はゆっくりになるような気がしたので意外だった。速度の上昇させるような障害物がどのくらいのサイズなのか気になった。

Science 滝口さん#6578 ,6579, 6587, 6588
4冊から5報の紹介でした。

Danny D. Sahtoe et al.,
βシートを介したヘテロダイマーの設計合成を基に、意図した通りのタンパク質複合体を作ったという内容の話だった。電顕写真に幾何学的な形がとても綺麗に写っていて、ここまで設計した通りにできるのはすごいと感じた。この形を基にして、機能的なタンパク質複合体が作られることに期待したい。

Amanda Jack et al.,
キネシン-微小管相互作用に対するMAP7の働きについて調べた内容だった。MAP7はキネシンやダイニンといったモータータンパクに対し、微小管結合部位によって競合阻害する。しかし、MAP7はキネシンとも相互作用をするため、至適濃度ではキネシンが微小管に集まり、逆にキネシン-微小管相互作用を促進するということだった。質問でも出ていたが、この濃度は実際の細胞内でも有り得る値なのか、生体内でMAP7による微妙な調節が起きるのか気になった。

PNAS 和泉さん Vol.119 #8, 11, 12
3冊から3報の紹介でした。

Xiaofeng Zheng et al.,
飽和脂肪酸が細胞内の脂肪滴に与える影響と、それらによって肥満や糖尿病が引き起こされるという内容の話だった。脂肪滴(lipid droplet)の存在を初めて知ったが、調べてみるとオルガネラとして重要な機能をもつようなので、大変勉強になった。西洋的な食事が飽和脂肪酸を多く含み、体に悪いということだったが、食材や調理法など、具体的な内容や特徴を知りたい。

Takeshi Haraguchi et al., 生物界で最速のミオシンの発見と構造の解析についての内容であった。ミオシン分子本体の長さが200nm前後だと思われるが、それに対し約70μm/sの移動速度があるということで、その速さに非常に驚いた。この高速運動の秘密はアクチンとの結合様式にあるとのことだったが、ミオシンの首や足の長さだったり、他の部位による影響はないのか気になった。

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