小嶋さん Science#6602, 6603, 6610
1)表皮が傷ついたときに起こす免疫反応の経路の論文。
モデルマウスを使って、修復やリンパ系の反応を解析した。IL-17が関与する伝達系の発見があり、IL-17により複数の修復系が集まってくる。mTORがキー分子。
2)membraneがどうやって水を通すか?のモデル。
3)アレスチンによるシグナル伝達系の話。
GPCR-アレスチンの結合部位をメチル基をラベルしてNMRで測定した。メチル基の位置が基質によって変わる。
4)コロナワクチンをうった人がコロナ感染したときの免疫反応の話。免疫Boost が起きるかどうか。
ワクチンを打ったあと、アルファ株感染するとおきる免疫反応のBoostがオミクロン株感染では起きない。
5)造血幹細胞のY染色体が加齢と共に失われるが、その影響の出方の話。
Y染色体が無くなる→TGF-βが増える→Fibloblastが増える→心臓の繊維化が進む→死亡率が上がるというカスケードがある。ところが、TGF-βの抗体でTGF-βの下流の反応を抑制する→Fibloblastが増えない→心臓が繊維化しない→死亡率が下がるとなる。
6)ダウン症の治療の話
モデルマウスを使ってテストした。GNRホルモンのパルス投与すると改善した。ヒトでも改善が見られた。
7)女王アリの寿命が延びる話。
女王アリがワーカーから変われるタイプのアリの話のようだ。女王が取り除かれるとワーカー達が争って女王になるが、そのとき、ワーカーの体内では卵巣の発達が見られる。最終的に女王アリになると、6個の卵巣が発達し、次々に卵を産む。女王アリになるとインシュリンが出ており、その信号の下流のfalの代謝が変わる。

はおさん PNAS vol119, No 34
1)リポソームに大腸菌を閉じ込めたら、リポソームが動いた話。
リポソームの中に大腸菌を閉じ込めたら、大腸菌がリポソーム本体から膜を被ったまま飛び出してきて紐状突起を形成した。そのうち、リポソーム本体もゆっくり運動した。封入個体数は1個から複数個にわたり、本体から飛び出してきて紐状の脂質チューブの先端に大腸菌がいる構造をとって、リポソーム本体も動いた。リポソームが動くときは、べん毛の束がきっちり密に束になっていたが、べん毛間に隙間がある状態だとリポソーム本体は動かなかった。瀧口さんのコメントで、法政で似たようなことやっていて、べん毛が1本のサルモネラ菌だと動かず、クラミドモナスだと動いた、そうである。これらの観察とコメントの結果から、べん毛モーターの駆動力が液中に伝搬してリポソーム本体が動くためには、べん毛の束にある一定のかたさ(剛性)と一定数のモーター(力の大きさ)、の両方が必要なことを示唆しています。

2)タイトジャンクションのオクルディンのS408のリン酸化の話。
オクルディンはタイトジャンクション特有のタンパクの一つであり、S408のリン酸化により、細胞骨格(Fアクチン?)との相互作用するZO-1との相互作用が変わり(NMR測定)、また細胞壁中での流動性も変わる(FRAP)し、タイトジャンクションのイオンの透過性も変わる。オクルディンは生物界に広く分布している。

3)マウスの樹状突起細胞クロマチン構造、折り畳み構造の話。
樹状突起細胞の分化中でのDNAの折り畳み具合を測定した。ホルマリン固定してマッピング。樹状細胞が幹細胞から分化していくに従い、クロスリンク位置が変わっていった。これはエンハンサーなどが次に来るべきシグナルに準備して、結合位置を変え、DNAの折り畳み位置を変えているからクロスリンク位置が変わることが原因と考えられた。次を予想?して準備していると感じました。

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