はおさん PNAS vol119, No 34
1)リポソームに大腸菌を閉じ込めたら、リポソームが動いた話。
リポソームの中に大腸菌を閉じ込めたら、大腸菌がリポソーム本体から膜を被ったまま飛び出してきて紐状突起を形成した。そのうち、リポソーム本体もゆっくり運動した。封入個体数は1個から複数個にわたり、本体から飛び出してきて紐状の脂質チューブの先端に大腸菌がいる構造をとって、リポソーム本体も動いた。リポソームが動くときは、べん毛の束がきっちり密に束になっていたが、べん毛間に隙間がある状態だとリポソーム本体は動かなかった。瀧口さんのコメントで、法政で似たようなことやっていて、べん毛が1本のサルモネラ菌だと動かず、クラミドモナスだと動いた、そうである。これらの観察とコメントの結果から、べん毛モーターの駆動力が液中に伝搬してリポソーム本体が動くためには、べん毛の束にある一定のかたさ(剛性)と一定数のモーター(力の大きさ)、の両方が必要なことを示唆しています。
2)タイトジャンクションのオクルディンのS408のリン酸化の話。
オクルディンはタイトジャンクション特有のタンパクの一つであり、S408のリン酸化により、細胞骨格(Fアクチン?)との相互作用するZO-1との相互作用が変わり(NMR測定)、また細胞壁中での流動性も変わる(FRAP)し、タイトジャンクションのイオンの透過性も変わる。オクルディンは生物界に広く分布している。
3)マウスの樹状突起細胞クロマチン構造、折り畳み構造の話。
樹状突起細胞の分化中でのDNAの折り畳み具合を測定した。ホルマリン固定してマッピング。樹状細胞が幹細胞から分化していくに従い、クロスリンク位置が変わっていった。これはエンハンサーなどが次に来るべきシグナルに準備して、結合位置を変え、DNAの折り畳み位置を変えているからクロスリンク位置が変わることが原因と考えられた。次を予想?して準備していると感じました。