Nature Vol. 615 Issue 7952, Vol616 Issue 7957 滝口さん
3冊から6報の紹介でした。

「Mitochondrial molecule controls inflammation」(N&V)
「Macrophage fumarate hydratase restrains mtRNA-mediated interferon production」(Hooftman et al)
「Fumarate induces vesicular release of mtDNA to drive innate immunity」(Zecchini et al)
ミトコンドリア内のフマル酸の蓄積が、ウイルス・細菌の感染への応答を引き起こすことが、複数の実験から示されました。フマル酸がミトコンドリア内で蓄積することで、ミトコンドリア内のDNAやRNAが細胞質に放出され、これによりインターフェロンの転写や炎症反応が促進されることがわかりました。腎臓での原がん遺伝子と、リポサッカライド炎症という二つの異なる研究対象で同様のことが示されたことは興味深く、詳しい分子機構の解明に期待します。

PNAS Vol.120 no.10, 11 横澤さん
2冊から3報の紹介でした。

「Microglia phagocytosis mediates the volume and function of the rat sexually dimorphic nucleus of the preoptic area」(Pickett et al)
性的二型核(SDN)と呼ばれる脳の一部分の大きさが、性的嗜好が男女のどちらに向いているかを決定していることがマウスにおいて示した論文でした。これまでメスのSDNの縮小はアポトーシスによるものと思われていましたが、マイクログリアによる食作用によりSDNが縮小していることが示されました。脳の特定の領域で性的指向が変化しうるというのはとても興味深く、マウスではなく人間ではどうなっているのか気になります。

「Propofol disrupts alpha dynamics in functionally distinct thalamocortical networks during loss of consciousness」(Weiner et al)
てんかん患者での、有意識下と無意識下(全身麻酔)での脳波を調べた結果、α波の出ている位置が、麻酔状態では脳の後ろ側に遷移していることを示した論文でした。てんかん患者ではなく、健常患者でも同様の変化が出るのか気になります。

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