Nature 平子さん Vol. 614 #7946, 7947
2冊から6報の紹介でした。

Adam J. Stevens et al.,
様々な細胞接着分子の細胞内ドメインを用いた合成細胞接着分子の特性を調べた内容で、細胞内ドメインを変えることで細胞間接着力が変わり、それに伴って組織の形成が変わることが示されていました。細胞外ドメインではなく細胞内ドメインが接着特性に大きな影響を与えることが印象的でした。

Michal K. Handzlik et al.,
 糖尿病によって引き起こされる末梢神経障害がセリンの欠乏に伴った脂質の代謝に関係していることを報告した論文でした。セリンの欠乏に起因する肝臓の遺伝子発現への影響の詳細なメカニズムの解明と糖尿病の新たな治療法の開発に期待します。

Chen Wang et al.,
 抗腫瘍免疫応答に概日リズムがあり、それが腫瘍の大きさに影響を与えることを報告した論文でした。治療薬をいつ投与するかによって効果が異なるのであれば、がんに限らず様々な治療薬に関しても早急に臨床研究を進めてほしいと感じました。

Science 寺田さん Vol.380 #6641, 6642, 6643
3冊から3報の紹介でした。

Manuela Thienel et al.,
 事故などで急に動けなくなった人は静脈血栓塞栓症のリスクが高い一方で、冬眠中のクマや脊髄損傷などで慢性的に動けない人はそのリスクが低い原因を調べたところ、HSP47が血栓形成に関わっていることを明らかにした論文でした。脊髄損傷の患者だけでなく、冬眠中のクマにも着目した点が非常にユニークだと感じました。

PNAS 片山さん Vol.120 #6, 7, 8
3冊から3報の紹介でした。

Anna Lea Albright et al.,
 産業革命の時期における大気汚染の様子をターナーとモネの絵画から推定しようとした内容でした。絵画の描かれた時期とそのコントラストが、二酸化硫黄の排出量の変化と相関がみられたことから、絵画はその時代の大気汚染の様子をよく捉えているという報告でした。絵画からその時代の様子を読み取ることは思いつくにしても、コントラストを定量化して大気汚染の変化をとらえるというのは、非常に面白い試みだと感じました。

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