Nature 横澤さん #7958, 7962
3つの論文の紹介がありました。
Bozdag et al (#7962)では酵母の進化実験を行い、単細胞生物から多細胞生物になる過程で何が起きているのかを明らかにしようとしました。3,000世代の酵母の植え継ぎをおこない、細胞塊を作るものを選抜していくと、gin4 kinaseやサイクリンcln3に変異が生じていたようです。成長に関係する因子に変化が生じると、細胞が集まりやすくなるようですね。
Debes et al (#7958)では、老化が起こる仕組みの中に、転写後のmRNAスプライシングが関係することを示していました。知らなかったのですが、老化が進むとむしろ転写速度が速くなり、線虫では変異で転写速度を下げると寿命が伸びたようです。スプライシングが途中で止まることによる問題が生じる、と理解しました。

Science 滝口さん #6629, 6647
3つの論文の紹介がありました。
Rubsam et al (#6629)では、植物が窒素固定する際に根粒をつくるのですが、今回は細菌なしに根粒を形成するのに成功したという報告でした。植物側のレセプターNfrを二量体化する際に、ナノボディをつかっているところが新しく、この方法でNFR1-NFR5が相互作用すると根粒形成が(細菌なしに)進むことがわかりました。
Stinchcombe et al (#6647)では、細胞傷害性T cellがどのようにして標的細胞にアタックするのかを見出していました。面白かったのは、ectocytosisという細胞膜の小突起形成によりターゲット細胞に接触し、ターゲット細胞側はendocytosisでこの突起部分をベシクルとして切り出し受け入れてしまう。するとベシクルの中に含まれる因子により標的細胞は死に至るということのようです。わかりやすい図で示されていました。

PNAS 宮村さん Vol.120, No.19, 20
3つの論文の紹介がありました。
Zugman et al (No.20)では、gender inequalityが脳の皮質の厚さの違いを生み出しているという調査結果(世界各国からのデータ)を報告していました。女性の方が薄くなっているようです。特に左脳側で顕著で、筆者らは栄養条件や教育環境が異なるためにこうした違いが起こるのではないかと考察しているようです。だとすると、解消は世界的な課題ですね。
Esterlinaand and O'Connorc (No. 19)では、3年間のCOVID-19による生活への満足度が欧州でどう変化したかの報告をしていました。規制の指数を独自に編み出し各種報告から解析していましたが、概ね新聞等で報道されている内容と合致している印象を受けました。

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