Nature 別所さん Vol. 620, #7973 and Vol. 621, #7979
2冊から3報の紹介がありました。

Kinya Nomura et al.,
植物が罹患する火傷病の原因菌(火傷病菌)について、エフェクタータンパクの構造・機能を解明し、その阻害剤を同定したという内容だった。構造解析でターゲットタンパクが膜タンパクなのではないかと当たりをつけてからXenopusの卵母細胞で発現させる実験を行っているが、電流や浸透圧をかけて明確な実験結果を得ているのはとてもわかりやすくてスマートなやり方だなと思った。このような実験設定ができるようになりたい。 火傷病はナシやリンゴなどの植物に感染することが知られており、最悪の場合は樹全体が枯死することもあるらしい。現時点で日本では発生が確認されていないそうだが、駆除方法がないため海外では大きな被害が出ているとのことだった。学術的なおもしろさだけでなく、農産業にも良い影響を与える研究結果なのかもしれないと思った。

Science 横澤さん Vol. 381, #6657, 6664
2冊から3報の紹介がありました。

Kai Wang et al.,
この論文では、腸内細菌叢由来の酵素が宿主の生理機能にどのような影響を及ぼすかを調べるために酵素活性のスクリーニング方法を開発・実施している。その結果として特定の細菌群由来のDPP4が発見された。おもしろいと思ったのは、ヒトDPP4を標的とする薬剤が細菌群由来のDPP4には効かなかったという点だった。薬剤の効き目に個人差があるのはよくあることだが、そのような背景が存在する場合もあるのかと思った。著者らは糖尿病マウスの機能を改善する選択的な微生物DPP4阻害剤として、Dau-d4を同定していた。Scienceに載る論文はそこまでやるんだと感心した。

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