別所君 Science Vol.384, Issue 6698, 6699 から3報

Crows "count" the number of self-generated vocalization
カラスが数を認識しているという結果。画面に出ている数字の回数だけ鳴いてボタンを押すと餌がもらえる実験。カラスをどのようにトレーニングしているかが気になる。

Impact of early visual experience on later usage of colour cues
人の目は色が徐々に見えるようになるが、先天性の白内障だと急に色が見えるようになる→白黒の認識が苦手になる。(色情報に頼った認識をする用になる。) 色のない生活も人間の発達にとっては重要。先天性白内障の人も白黒画像でトレーニングしたらコントロールと同じになりそう。

Supersharers of fake news on Twitter
2020年の米大統領選前後の選挙に関するフェイクニュースがどこから来ていたのかを調査。"Supersharer"と呼ばれる一部(0.3%)のアカウントが全体の8割以上のフェイクニュースをツイート、拡散していたという結果。日本でも確かに一部の高齢左翼や共産党支持者、陰謀論者などが由来のフェイクニュースを見ることが多く、実感に合った結果となっている。いわゆるノイジーマイノリティの声が広がりやすいSNS特有の結果か。

横澤君 Nature No.8016, 8017, 8018 から3報

DNA mismatch and damage pattern revealed by single-molecule sequencing
一本鎖でのミスマッチを検出する実験。DNAの変異がどのように起こっているかを確かめたい。

Epigenetic inheritance of diet-induced and sperm-borne mitochondrial RNAs
Twitterで話題になっていた論文。精子が持っているノンコードRNAが子孫に遺伝している。妊娠時に父親が肥満だと子どもは血糖値が上がりやすい(等への耐性が低い)。人間では父親と子どもの肥満には相関がある。ミトコンドリアは母親由来と認識していたが、父親の、しかも後天的な形質が遺伝しているというのは非常に興味深い。

A Gram-negative-selective antibiotic that spares the gut microbiome
グラム陰性菌だけを殺す抗生剤。二次感染云々も重要な問題だが、個人的には飲んでもおなかを壊さない抗生剤が普及してくれたらとてもうれしい。

金吾さん Science Vol.384, Issue 6695, 6696, 6697 から

A reverse break for the cell cycle
細胞周期が狂うとゲノム重複が起こるが、基本的にはAPCが止める。これで止められない場合は細胞周期を制御しているCDK4/6が止めていたという報告。

Zombie malaria parasites
蚊の唾液腺に含まれるマラリアの遺伝子群と、研究室で培養されているマラリアの遺伝子群が一部(数%~数十%)異なっていたという報告。系統が確立されているからと言って信用してはいけない。

engineering colloidal crystals molecule by molecule
DNA-origamiで4次構造を作らせることに成功したという報告。ほぼ蛋白質。3Dプリンターみたいに使えそう。

Cleavage-independent activation of ancient eukaryotic gasdermins and structural mechanisms
膜に穴を開けて細胞死を促すタンパク質Gasderminの制御に関する報告。高度な制御(ダイマーが切断されることで大きな複合体を作り膜穿孔を起こす)下で動いているかと思われていたが、切断されなくても膜穿孔を起こすGasderminも発見された。怖い。たくさん穴が開いたリポソームの電顕像が面白い。

丸山君 PNAS Vol.121, No.25 から4報

Inhibition of a cyclic nucleotide-gated channel on...
変異が入ると寿命が延びるのが不思議。

Ca2+ permeation through C-terminal cleaved, but not full-length human Pannexin1 hemichannels, mediates cell death
細胞死の際にヘミチャネルの一部が切断される。これが透過性にどのような影響を与えているのかを調べた論文。切断されるとチャネル内部がマイナスチャージになり、Caイオンの透過率が上がるというシミュレーション結果。pHにも依存。

Transdermal microarrayed electroporation for enhanced cancer immunotherapy based on DNA vaccination
最近美容機器でエレクトロポレーションを謳っているものがあるが、この方法を使えば本当にエレクトロポレーションできそうで興味深い。美容が好きな人は美容針や注射など顔面に針を刺すことに抵抗がないので、この方法もいずれは医療ではなく美容業界に広がっていきそう。

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