nature 成田さん Vol.635?
1) 20世紀初頭からのデータを使ったシミュレーション。1900年前後の海水表面温度が陸上の温度などと比較しても異常に低く測定されていたが、恐らく測定方法などによる差とのこと。温暖化傾向にあることは間違いないが、従来考えられていたほどの傾斜では無い可能性が示唆されている。古いデータを使った研究は悪意が無くても特に疑って見るべきかもしれない。
2) ショウジョウバエの視覚投射ニューロンは視覚情報の一次処理を行うが、その処理が視覚以外の情報によって変化するとのこと。恋は盲目というが、比喩でもなんでもなく本当に盲目になっているのかも。
3) 乳房組織上皮細胞における異数体細胞数のデータ。かなり多くの細胞に乳がんと共通の変化を含む染色体異常が見られたが、機能は正常だったとのこと。病気の原因とされていることが実は健康な人の体内でも起こっているということはがん以外でもありそうで興味深い。

Science 服部くん Issue 6717, 6723
1) 逆転写酵素がウイルス免疫を引き起こす仕組みを調べた研究。システムをハックしている感じで面白い。
2) 多価mRNAワクチンによるCDI(細菌感染症)予防の可能性について検証した。細菌の作る毒素に対する免疫(?)を獲得できたとの報告。本件RNAが何をコードしているかは不明だが、様々な病原に比較的簡単に対応できるRNAワクチンは偉大。
3) 幻覚剤には抗不安作用があるが、その作用機序が幻覚とは異なる可能性を示唆している。逆に純粋な幻覚剤が作れたらそれはそれで面白そう。

PNAS 別所くん No.47
1) 単一の装置内で異なる酸素濃度の供給を可能にする系を開発した報告。複数の組織細胞をそれぞれの生体内での酸素濃度下で観察できるようになる。生体内の代謝環境を再現できる?
2) 酵母でlipophilic compoundsを産生させる研究。
3) 膝が痛くなる現象を解明した研究。関節の潤滑作用は何によるものか。従来は単一成分の脂質層の研究が行われていたが、新しく複数成分について検証したところ、組み合わせによって潤滑作用に大きな差が見られたとのこと。脂質膜が軟骨表面を保護している?
4) トウガラシの歴史に関する研究。遺伝的アプローチではなく考古学アプローチによる調査。種の出土エリアや過去の気候などから調査。遺伝的アプローチとの比較があると面白そう。

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