病院


 みなさんこんにちは。何かと忙しくしていまして、更新をさぼっておりました。今月は親しくしていた日本人3人が帰国することになっていて、また寂しくなります。 さて、今回は前に予告していた病院の話をしましょう。

 2月下旬にどうもイスに座るとお尻が痛いなぁと思っていたら、小さなおできのようなものが出来ていました。まあきれいにしていればそのうち治るだろうと思っていたら、次第に悪くなってイスに座れないほど痛くなってしまいました。そこで、大学の直ぐ近くにある薬局で塗り薬を買って(3ドルほど)、塗ってみましたが翌日になっても何も変化がありません。どうにも痛くて実験にも集中できないので、しかたなく医者に行くことにしました。

 さて、ではどこの医者へ行けばいいのか。日本だと皮膚科の医院へ行きますよね。ところがあいにく、僕の家の周りには皮膚科らしきclinicがありません。しかたないので、前にパーティで知り合ったNurseの男性に教えてもらったとおり、大学病院のERへ行くことにしました。ERというと、TVドラマでも皆さんご存じの通り、ものすごく忙しい部局ですよね。でも、他の専門の部局に行くと、appointmentを取ってからでないと診察してもらえないらしい(聞いた話では)ので、その日にappointmentを取りに行けば、見てもらえるのは次の日以降になってしまいます。それではたまらないので、結局ERへ行きました。

 University of UtahのUniversity HospitalはSalt Lakeの中でも大きな病院で、いつも混雑しています。バスでhospital玄関前まで行き、正面のgeneral informationのお姉さんにERの場所を聞いて、病院東側にあるERへ行きました。その途中、昨年までBlair labにいたGinaとcoffee shopで会ったので、ちょっとだけ世間話。これからERでおできを見てもらうんだというと、ERは高いからappointmentをとって専門医に診てもらう方が安く済むよ、というのです。そこで上に書いたような理由を話して、直ぐ治して欲しいんでERへ行くんだというと、good luck! と言ってくれました。値段のことについては後で説明しましょう。

 Ginaと別れて、ERへ行くと、その日はたまたま混んでいませんでした。受付の人にどうしたらいいか聞くと、ノートにどういう症状であるかを記入するように、と言われました。いつ頃から痛むのか、どこが痛いかなどを書き込んで、ベンチに座って待っていると、名前を呼ばれて待合室の隣の小さな部屋へ。そこでは医者らしき白衣を着た女性が、いろいろ質問してきます。そこで僕の症状を細かく説明して、生年月日やどこで働いているか、social security numberなどを応えて、さらに医療保険のカードを渡しました。後で聞いた話で、social security numberは、保険を有効にするために重要であるらしいです。僕の場合保険はBlueCross BlueShield of Utahに入っているので、そのカードを渡せば、保険の処理は病院の方でやってくれます(くれぐれもeffective dateを確認して有効なカードを示すようにしましょう!)。続いて血圧や体温を測定し、診察室へ連れていってくれました。そこで待つこと数分、事務の人らしき女性がやってきて、ERを利用する際に同意しなければならない事柄を書いた紙を見せて説明してくれるので、それにサインしました。内容はNurseのduty, medical consentなどで、特にagreeできないものではないです。さて、このsign upの作業を終えてからかなり待たされました。1時間ほど待ったでしょうか? ようやくnurseの男性が現れて、診察するのでパンツを脱いでガウンを羽織って待つように、と指示されました。言われたとおりにして更に待つこと30分ほど、ようやくdoctorが来てくれました。

 「待たせて悪かったね」という挨拶の後、症状を説明して、患部を見せたところ、doctorはいろいろ触って反応を確かめた後、「これは膿瘍だね(Abscess)。痛かったろう、しかも2カ所もあるよ。バクテリアが感染して穴状に深く膿がたまっているんだ。これを完全に治すには、穴を空けて膿を根こそぎ追い出してやるのが一番手っ取り早い。15分ほどで済むような簡単な処置だから心配しなくても大丈夫」とのこと。2カ所も膿が出来ているとは知らなかったのでちょっとショック。doctorはnurseに患部を消毒しておくように言いつけ、I'll be right back!と言ってどこかに行ってしまいました(TVのERみたいです)。nurseに実際にどんなことをするのか聞くと、注射針を膿の上に刺して穴を開けるのだそうで、なんだかちょっと不安。でも麻酔してくれるだろうから大したことはないだろうとタカをくくっていました。5分ほどしてdoctorが若いきれいな女子学生さんを連れてきて、僕のお尻を彼女に見せながら(so embarrassing!)、「これは結構ひどいよ。2カ所、こことここに膿があるだろう」とか言いながら説明しています。何人か女性のnurseも現れて処置の準備を始めました。僕はうつぶせになりお尻をdoctorたちにさらけださねばならずやっぱり恥ずかしい。doctorが「これから少し痛むけど我慢するように」というので、麻酔かなと思っていたらなんと麻酔なし! ぶちゅっと針を刺されてぐりぐりやられ、これがめちゃめちゃ痛い。doctorは「ううむ、結構深いな、これ」とか言うのでオイオイと思いながら我慢しました。どうやら2カ所の膿は中でつながっているらしく、穴をつなげるためdoctorは頑張ってくれているようです。しかしこれがめちゃめちゃ痛い。情けないけれど「It hurts!」と言いながらうんうんうなっている内に、デリケートなところを触られているせいか、神経が高ぶってしまい顔から血の気が一気に引いてしまって、何度もせき込んでしまいました(はずかし〜)。今にも吐きそうでしたが、もうお昼過ぎだったので何も出てこなかったので良かったです。そんな僕の様子を見てnurseや学生さんは「大丈夫? もうちょっとだから我慢我慢。あんた強いから大丈夫だよ」とか、まるで子供をあやしているかのようでした(トホホ)。doctorも「ごめんごめん、少々痛いけどもうちょっとだから頑張って」と言われて、這々の体でやっと全て処置を終えることができました。体からは汗がどっと出ていて頭はぼーっとするし、吐き気も止まらないのでどうなることかと思いましたが、患部を消毒してガーゼをのせてもらうと少し落ち着くことが出来、doctorの説明を聞くことが出来ました。「inside-outになるように処置したので、膿が体の外へ出てきて、皮膚が内側から外側へ再生してくるはずだから、ガーゼに膿が今晩出てくるはず。明日もう一度見せにおいで」とのこと。nurseやとなりのベッドの患者さんも「兄ちゃん大丈夫かい?」と聞いてくれて、恥ずかしいやら嬉しいやら。ともかく全ての処置を終え、pain killerのpillをもらって、1錠だけ飲みました。かなりきつい薬らしく、dizzyになるかもしれないが、大丈夫か?車を運転してきてないよね?などと聞かれて、今日はバスで来たこと、でもラボで実験しなければならないこと、を言うと、じゃあ1錠だけのもうか?となったわけです。確かにこの薬かなりきつい。痛みは消えましたが、頭がぼーっとしてしまいます。薬を飲んだ後、今日の処置のレポートを印刷してくれたものをくれました。これがとってもありがたい。どのdoctorが処置したか、病名は何で、どんな処置をしたか、薬は何をいつ飲めばいいか、次はいつどこへ来ればいいのか、緊急連絡先や注意事項などすべてかいてあります。このレポートをもらうとき、ちゃんと今日の処置にタイする説明を受けたことに同意するsignをしました。このあたりはinformed consentが徹底しているアメリカらしいですね。その後、ERの隣にある薬局に行き薬を買ってその日は終了(薬はその場で実費で払いました)。ラボへ戻って今日の出来事を話すと、みんな同情してくれました。

 翌日は指定された時間に患部を見せに行き、ガーゼを交換するだけで終わったので、30分ほどであっけなく済みました。それから2日後、最後に抜糸してもらいに再び行きました。これも驚くほどあっけない。doctorにお尻を見せると、「うん、きれいに治った。予想通りだよ」といって、ぴゅっと抜糸してくれました。その間数秒。で、おわり。「もう来なくて大丈夫だよ。今日の昼からスキーに言ってもいいし」というので、すっかり安心。後でnurseに、自分は初めてERを利用したこと、ERをこのような軽い症状で診察してもらいにきていいのかどうか、など聞いてみると、もちろんERはwelcomeだし、君の選択は正しいよ。といってくれました。僕のように普段健康で保険も最低限のものに入っている場合、自分の指定のdoctorはいません。何かあった場合、ERへ行くのは正しい選択だったようです。ただ、もし慌てないことであれば、専門科にアポを取っていく方が安くつくようです。

 さて、問題の支払いですが、上にも書いたとおり、診察当日には薬局で薬を買うとき以外は支払いをする必要はありません。保険会社が精算をしてくれるまで待っていればいいのです。ではいくらかかったか以下にまとめてみましょう。

 your responsibilityのtotal=$202.00払ったことになります。やはり高い。2/28-3,4に関しては実際処置をしてくれたdoctorに支払い、その他はhospitalへ行くようです。全ての支払いはcheckで済ませました。いずれも保険会社からclaimの紙が送られてくるのですが、ややこしいのはこの紙にはThis is not a billと書いてあること。そのくせ、Please send your payment to: ....と書いてあり、このclaimが発行されてから1ヶ月中に支払いを済ませるようにと書かれてあるので、結局claimに書かれている額を払わなければなりません。990712(保険)に書いたように、僕の保険の場合、最初の150ドルを負担した後は、80%を保険が支払ってくれることになっていて、eligibleの額(これがどのようにして決まったのかはわかりません)をチェックすると確かにちゃんと計算はあっていました。つまり、2/28-1, 2, 3/3のyour responsibilityの合計額がちょうど$150.00になっていて、その他はすべてeligibleの額の80%引きの値がyour responsibilityに課されていました。というわけで、支配も無事すませてこれで一件落着。面白いのは、hospitalとphysicianの両方に支配が行くと言うところですね。日本とは違う。また、ERの場合、ER使用料というのが自動的に加算されるので高くなるのだそうです。

 さて、先週の木曜日の英語教室は、international centerのmedical careの事務処理をなさっている女性がゲストで、彼女との質疑応答がメインの内容でした。彼女はinternational studentsがスムーズにmedical careを受けられるように、直接studentsに会って話を聞きたいとのことで、色々な質問を受けました。主な内容として、USとhome countryの間のmedical systemの違いはどういうところにあるか、どういう点が私たちにとって難しいか、実際にhospitalへ行ってみてどう感じたか、問題はあったかなど。classのmemberの半分くらいがhospitalに行って診察を受けたことがあったので、話は盛り上がり、たくさんのdiscussionができました。その晩の結論は、nativeの人たちでさえとまどっている保険のシステムに問題がある、ということでした。興味深かったのは、アジアの国々ではだいたい日本と同じような医療状況であるのに対し、旧共産圏のポーランドやハンガリーでは、医療費は完全に無料で、すべて国が負担してくれること。しかし、そのために医者に支払われる給料は信じられないほど安くとても生活できないので、良い治療を受けるには、患者は封筒にお金を入れて、診察の際にそっと渡すのだそうです(ハンガリーでの話)。アメリカでは医療保険に対しては多くの議論があって、意見がまとまらず、今も日本のような国が健康保険を準備してくれることはありません。そのため、各保険会社に各自で契約しなけれなならず、保険のポリシー(契約内容)がかなり複雑なため、みんな困っているようです。国が保険を作らないのは、税金をその方面に払いたくないと言うアメリカ国民の考えからなのだそうです。そのため、貧しい人たちは保険を持っていないことも結構あるそうです。また、僕の友人でも、本当に短期の滞在の人は医療保険を持っていない人がいます(健康だから大丈夫ですが)。そう、日本からのお金出来ている人たちは、こちらの保険でなく日本の保険で来ている人も多いようです。その場合の支払い方法などは、各保険のポリシーによって変わってくるらしいので、ここでは話を省略します。

 というわけで、今回はここまでです。次回はPolitically incorrectの話をする予定です。

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