主要装置

 当構造生物学研究センターの使命の一つは、X線蛋白質結晶構造解析法、急速凍結電子顕微鏡法、蛋白質NMR法の3つの構造生物学研究の主要な方法を組み合わせて駆使する研究を可能にすることである。また、これらの研究手法に最適な蛋白質試料を調製および標識する基盤技術を集積・開発することも重要である。以上を可能とするために、以下のようなスペシャリスト・装置・施設を擁する。

スペシャリスト

 構造生物学研究では個々の方法に熟知したスペシャリストがどうしても必要である。特に電子顕微鏡とNMR分野では現在急速に研究手法の新規開発・改良と装置の改良が進行しているので、自分たちで方法を開発できる能力が必要とされる。また、蛋白質試料調製も、個々の蛋白質と方法の特性および研究目的に合致した試料を調製するには、経験豊富な専門家の参加が必須である。当センターは意識的にそのような人材を集積してきた。詳しくは各研究グループの研究実績を参照されたい。

蛋白質試料調整および生化学的研究のための装置

 構造生物学研究では、蛋白質試料の調製は極めて重要であり、基盤技術である。大量の試料を短時間に調製できること、均一で凝集しない試料を調製すること、同位体標識を効率よく行うこと、などが課題となる。これら満たすべき要件は、対象蛋白質および測定方法、研究目的によりそれぞれ大きく異なる。このように多岐にわたる要件を満たすために、大量発現系として大腸菌、昆虫培養細胞(Sf9などとバキュロウイルスを使った発現系)、高等生物細胞を使っている。当センターは、これらの作業を2-3組同時平行的に遂行可能な装置を備えている。

グループ番号装置個数型式・製造元設置場所
キャビン/
キャビネット
1低温室 1 SANYO 高等総合研究館4階
2組換え実験安全キャビネット2SANYO
3クロマトチェンバー4Tomy, Nippon Freezer
4ドラフト1 Yamato
培養関係5オートクレーブ 3 Tomy高等総合研究館4階
6振盪培養器
(小、冷却装置付き)
2Yamato
7振盪培養器
(大、冷却装置付き)
2NewBrunswick, Inova
8集菌用大容量遠心機 1Beckman J6-MI
9Sf9細胞培養システム (3リッター)3和研薬
10CO2インキュベータ1SANYO
蛋白質調製・生化学実験11蛋白質分取用液体
クロマトグラフィーシステム
7AKTA, BioRad高等総合研究館4階
12HPLC1Waters
13高速冷却遠心機2Hitachi
14超遠心機1Beckman
15小型超遠心機1Hitachi
16DNAシークエンサー 1ABI 3130
17分光光度計2Hitachi, Beckman
18蛍光分光光度計1Hitachi F-7000
19純水製造装置2Milipore
20ガラス洗浄機1Miele
X線蛋白質
結晶構造解析
21X線蛋白質結晶構造解析システム 高等総合研究館4階
X線発生器1Rigaku FR-E
X線2次元検出器2Rigaku R-AXIS IV
低温窒素ガス吹付型結晶凍結装置2Rigaku
光学顕微鏡22TIRF 光学顕微鏡2Nikon TE-2000E with EB-CCD or DIC高等総合研究館4階
Nikon TE-2000U with II-CCD (MTI VS4)
23暗視野顕微鏡2Olympus BX60, BX53

電子顕微鏡

 以下の電子顕微鏡のうち、25と26は試料条件の最適化など予備実験に使用する。24は急速凍結試料の単粒子解析などに使用している。実際に構造解析用のデータを取得するには、試料の特性と解析方法によって最適な装置を使うことがどうしても必要となる。それで全国各地の他研究室の装置も使用している。しかし、これから重要となる高分解能トモグラフィー法のためには、高機能電子顕微鏡+最先端の検出器を組合わせて導入することが今後の課題である。27はエコトピア科学研究所の臼倉プロジェクト(JST) が構造生物学研究センター成田と共同で開発中の装置である。

番号型式/製造元加速電圧電子銃載物台エネルギー
フィルター
検出器所有/使用設置場所
24FEI
Polara
(TEM)
300 kV Field
Emission
gun
液体He温度有り
(ポストカラムタイプ)
CCD
4k x 4k pixels*
エコトピア研究所・物性物理のグループと共用 総合研究実験棟
25Hitachi
H7600
(TEM)
120 kV Tungsten 室温無し 写真フィルム 当センター専用
(エコトピア・臼倉より無償供与)
高等総合研究館地下階
26 JEOL JEM-1200(TEM) 120 kV Tungsten/
LaB6
室温無し 写真フィルム 当センター専用 高等総合研究館地下階
27 Hitachi
Cryo-fl.LM-in
lens-S(T)EM
(provisional)
(STEM+ Optical M)
30 kV
(SE, BSE,
DF-STEM,
BF-STEM)
Field
Emission
gun
液体窒素温度
-185 oC(目標)
無し 2次電子用、
反跳電子用
暗視野STEM
明視野STEM用
臼倉プロジェクト
(JST エコトピア研究所)
高等総合研究館地下階
(予定)
28 ミクロトーム Cryo-ultra microtome for CEMOVIS EM:Leica UC7i + FC7 当センター専用 高等総合研究館地下階

(*) 24のうち、CCD検出器は当センターが購入。


蛋白質NMR測定装置

番号最大磁場強度磁石液体窒素
再凝集装置
コンソール検出器ソフトウェア
29900 MHz 自己遮蔽 装備 Avance III 900TCI 超伝導(1H直接観測) Topspin 3.1
30600 MHz - 装備 Avance III 600TCI 超伝導(1H直接観測) Topspin 3.0
31600 MHz 自己遮蔽 装備 Avance 600TXI 超伝導(1H直接観測) Topspin 2.1
32 500 MHz - 装備 Avance III 500DCH超伝導(13C直接観測) Topspin 3.0
33 500 MHz 自己遮蔽 装備 Avance 500TXI 超伝導(1H直接観測) Xwinnmr 3.5
34 高圧NMR装置 静水圧下でのNMR測定用セル(セル材質Zirconia, 外径5 mm (内径3 mm) x 87 mm)および加圧装置 (Xtreme-60 Syringe pump, Deadalus Innovations, USA)。最高加圧 2.5 気圧。すべてのNMR装置に接続可能、すでに2年間使用実績。

上記装置はいずれもBruker Biospin社製、設置場所はいずれも第二実験棟内NMR実験室内。

 これら5基のNMR装置はそれぞれ特徴があり、実際の実験には組合わせて用いられる。またNMR解析では試料あたり長時間の測定が必要であるので、複数の共同研究を効率的に遂行するには複数装置が必要である。現在これら5基は24時間、365日稼働している。当センターのNMR棟は特に振動と外部磁場の影響が少ない。このように装置と立地の点でも、当センターは我が国でも最も優秀なNMR測定施設となっている。

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