五島研究室/Goshima Lab
名古屋大学大学院理学研究科 菅島臨海実験所
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 海生真菌の生物学
 酵母や糸状菌といった真菌はパンやビールの原料としてだけではなく、有用抗生物質の発見や、細胞の基盤制御機構の解明など、広く生物学、医学に貢献をしてきました。細胞の基盤制御機構の研究で用いられたのは出芽酵母 S.cerevisiae、分裂酵母 S. pombe、糸状菌 A. nidulans などの限られた種です。しかし、海には多様な真菌類が生息し、モデル真菌とは全く異なる細胞の成長や分裂を示すことがあることが最近の研究でわかってきました。たとえば、環境に応じて細胞の成長・分裂様式を変える黒色酵母種が菅島近海に生息しています。私たちはこのような表現型の可塑性の分子基盤や進化を探究するなど、海生真菌類について多面的な研究を展開しています。

(図1)菅島近海で採集された黒色酵母のコロニー(左)と細胞(右)
 海藻の細胞生物学
 鳥羽は海苔をはじめとして色々な海藻の産地です。私たちは海藻の細胞レベルでの研究を進めています。海には多様な生物種が生息し、その中には細胞レベルで陸上生物とは大きく異なる特徴を有するものも多くいます。たとえば細胞分裂はすべての生物にとって基盤的な活動ですが、このプロセスにおいてですら海藻では「常識外れ」の様式が存在することが示唆されています。これらを理解する上で、陸上生物のモデル細胞種を用いた研究で得られた知見をそのまま当てはめることはできません。現在特に力を入れて研究しているのは緑藻のハネモ(Bryopsis)です。鳥の羽根(フェザー)のような形で10 cm ほどに成長する海藻ですが、驚くことに単細胞生物です。細胞分裂を経ずにどのようにして精巧な形態を形成できるのか、とても興味があります。
(図2)菅島臨海実験所前で採集した海藻。右はハネモ。

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